第6話 襲撃

 これが、金棒か。青竹の家に行き、布に巻いて隠してあった金棒を手にした。ずっしり重い。これを木刀のように扱えるのだろうか。

「青竹、関所の鬼を襲撃する時、お前が金棒を持て。俺が急にこれを振り回すのは無理じゃ。俺は木刀でいい。」

俺がそう言うと、青竹は俺の顔を凝視した。

「いや、だから俺はそういうの無理だから。」

「大丈夫。俺が木刀で倒す。お前は、ちょっと手助けをしてくれればいいんじゃ。」

「いやいや、絶対無理だ。こんな重たいの片手で持つ事すらできないよ。」

「そうか・・・。じゃあ、金棒は使わない。俺は木刀でいいや。」

俺があっさり言うと、青竹は驚いた顔をして俺を凝視した。

「あ、そうだ。生成はどうだ?金棒、使ってみるか?」

そう言うと、生成は金棒を持ち上げた。そして、片手でブン、ブンと振った。

「うん、あってもいいかな。」

「さすが!」

俺は生成の腕っぷしの強さに感激した。さすが熊を倒すだけの事はある。


 夜になるのを、作戦を立てながら待った。辺りが暗くなり、人の往来が無くなった頃、俺たちはそっと関所に近づいた。

「まずは赤鬼から行くぞ。」

俺が合図をし、二人が頷いた。そして、俺は声を立てずに走り寄り、赤鬼の頭めがけて木刀を振り下ろした。言い忘れていたが、後ろから。

「うぎゃあ!」

鬼が叫び声を上げ、よろめいた。そこへ、生成がすかさず走ってきて、金棒でもう一度赤鬼の頭を打ち付けた。異変に気付いた青鬼がこちらへ向かって歩いて来たので、俺は青鬼の胴体を突いた。

「うっ!」

青鬼も後ろへ数歩よろめいた。そこを生成が金棒で殴りつける。一方、赤鬼も金棒を振り回して近づいてきたので、俺は飛び上がって赤鬼の頭上から木刀を振り下ろした。赤鬼はどうっと倒れた。そこへ青鬼が金棒を振り回して来たので、頭を下げてかわした。生成が金棒で金棒を受け、生成の持っていた金棒が飛んで行った。だが、青鬼も手がしびれたようで、金棒を持った右手首を、左手で抑えた。

「今だ!」

生成と、近くに潜んでいた青竹が同時に叫んだ。俺は飛び上がって青鬼の頭上に木刀を振り下ろした。

 青鬼もその場に伸びた。

「よし、これで通れる。」

俺たちは、闇に紛れて関所を通り抜け、しばらく走って行った。そして、店などが無くなって田畑が広がる真っ暗な道に出ると、近くの納屋の陰で眠った。

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