第8話 俺の過去

 俺の何処に格好良さなどあるのだろうか。


 あの時、妹……田中棘巳たなかとげみは泣いていた。


 結局なんのことかは分からないが、妹の涙を見たのはいつぶりだろうか。


 俺は過去を嫌嫌思い出す。







 〜 過去の記憶 〜


 あれは小学校の時、俺は今のようにまぁ暗そうな顔をしていたような気がする。


 あの時は運悪くいじめが多発しており、俺は無難にやり過ごすこと、いじめに巻き込まれないよう考えて行動していたはずだった。


 しかしある日、いじめを受けている女の子を見つけ、多人数での暴力に暴言、許せるはずがなかった。


 勇気が出なかった俺は、そのクラスを通り過ぎようとしたのだがその時、かすれた声で「助けて……」そう聞こえた。


 この耳で聞いてしまったのだ、だから勢いよく無意識に振り返りそのクラスの中へ飛び込んでいった。


「おい!そいつ泣いてるだろうが!」


 俺はその時初めて勇気をだし、初めて荒げた声をだした。


 結論を言うとボロボロだったが、悔いはなかった。


 そんな時だったかな、あいつが泣きながら

「ひどい!先生にいってくるから……」と言って行こうとするから俺が止めたんだっけ。


 その時何か言った気がするがよく覚えていない。


 これで終わりだと思うだろうが、まだまだ続きがあるのだ、妹の知らない秘密の話が。
















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