第二十六時限目
その後も無事授業を終え、放課後あたしは無理矢理拓を部活に行かせ、桂太君の教室で菜緒と3人、拓の部活が終わるまで明日の誕生日会を練った。
集合場所と時間は、夕方5時に拓の家。
菜緒達からの提案により、あたしは何故か手作りケーキを用意
そして桂太君と菜緒はお菓子やジュース、それと拓へのプレゼントを用意するらしい。
「結芽ちゃんはプレゼント何あげるの?」
「…まだ買ってない」
「え、マジ…?」
「結芽、それはいくら何でも拓が可哀想だよ…」
2人が呆れた様な顔であたしを見る。
「今夜ケーキ作って、明日プレゼント買いに行くよ…」
「あ、一応拓には内緒だからケーキもプレゼントもバレない様にね?俺等も気をつけるから」
「うん、頑張る」
拓は明日で17歳。
(まだあたしがお母さんのお腹にいる時に、もう拓は産まれたんだ…)
「あいつ、喜ぶかね(笑)」
「泣かせたいよね(笑)ね?結芽?」
「どうだろね(笑)…ってか今夜拓に『おめでとう』の電話とかしても平気?」
「ダメダメっ、結芽は忘れてるふりしなきゃっ!」
「そ、そう?」
「あ、結芽ちゃん部活行きなっ!一応怪しまれない様に!」
「は、はい…」
部活終了時刻まであとわずか。
(あ、桂太君にあっくんの事言っておかなきゃ…)
あたしは桂太君と菜緒に、今日敦子先輩と仲直りした事も含め、あっくんの『裏事情』を話した。
案の定、桂太君は納得が行かない様な表情を見せたが菜緒が上手くフォローを入れてくれ、渋々あっくんの出戻りを了解してくれた。
「じゃ、部活行くね!また明日!!」
「結芽っ!!絶っ対拓にバレちゃダメだからねっ!」
「分かったって(笑)」
桂太君達と別れ、急いで部活に行ったものの、既にみんなは面を外し始めており、田村からは散々嫌味を言われ結局挨拶だけをして帰る事となった。
そして帰り道
拓と2人で帰っていたあたしは明日の事を口走ってしまわぬ様、拓に不気味がられながらも終始無言でただひらすら笑顔を振り巻いていた。
その夜、あたしは人生初の手作りケーキに挑戦。
中学生の頃に友達と買ったお菓子の本を引っ張り出し、夜中まで格闘した末見本とはだいぶ変わってしまったがなんとかバースデーケーキを作り終える事が出来た。
「家にあるお菓子全部乗せちゃった…バイキングみたいでいいよね…?」
時計の針は、もうすぐ3時。
「よしっ、風呂入って寝るかっ!!」
食べる事は得意でも、作る事に関してはかなり不得意なあたし
このケーキだって、本当は皆に見せれる様な物じゃないかもしれない
でも、1番肝心なのは『どれだけの想いが込められているか』とゆう事
(拓、喜んでくれるとい~なぁ…)
電話で祝いの言葉を伝える事が出来なかった思いをケーキに託したあたしは、遠足に行く子供の様な気持ちで眠りについた。
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