第十時限目

「見~せ~ろぉ――っ!」




拓がそう言って、桂太君のズボンを下げた瞬間…





トランクスまで半分ずり下がり、あたし達は背中を向けていた桂太君の半ケツを拝む事になった。




もうそれからは大変




拓は爆笑しながら逃げるし、桂太君は顔を真っ赤にして逃げる拓を猛ダッシュで追い掛けるし…




結局、捕まえられた拓は謝りもせずに笑いっぱなし




菜緒が夕方からバイトがあった為、桂太君は菜緒に引きずられながら泣く泣くあたし達と別れたのだった。






「結芽ちゃぁん!自転車止めて―――っ!」



「桂太の奴、しぶといな(笑)」




「あんたが悪いっ」




あたしは両足を地面に落とし、無理矢理自転車を止めた。




「バカっ、俺絞められんだろーがっ!」




「公共の場で半ケツにされて見なよっ!」




「別に肝心な場所は隠れてたんだからいいじゃねぇか」




「桂太君はあんたと違って繊細なのっ!」



貧血で倒れる1歩手間の桂太君が拓の元へ掛け寄る。




「お、お前も半ケツになれっ…」




「じゃ金寄こせ」




「拓っ!」




「何だよ?お前見てぇのか」




「見せるなら金寄こせっ」




桂太君と拓のケンカのはずが、次第にあたしと拓の言い合いへと変わる。




「こら~、朝から無駄な体力使うな~」




大きなあくびをしながら、菜緒がやっとあたし達の所に辿り着いた。




「あんた達、少しはカップルらしくしなさいよ」




「だって拓が…」




「拓も少しはキリッとしなさいっ」




「出来ねぇよ…俺男だもん…」




「男だからするんだよっ!」




桂太君と菜緒が大きくため息をつく。




「お前等見てっと疲れる…ホラ、行くぞ」




桂太君があたしと入れ替わって自転車の後ろに乗る。




「拓、こげ」




「はぁ!?」




「これで許してやるよ」




「え゛~、じゃ桂太がこいで?」




「それじゃ意味無ぇだろっ」




桂太君が拓の頭をチョップする。




「分かったよ…結芽、先行ってっから」




「早よ行け」




「後でなっ」




あたしと菜緒を残し、桂太君と拓は一足先に学校へと向かった。







「たまには女2人だけってのもいいね(笑)」



「あ゛~、拓いると桂太がはしゃいじゃってね(笑)」




「え?あれはしゃいでるの?」




「だよ~?桂太は拓大好きだから(笑)」




ゆっくりと歩き出すあたしと菜緒。




「…でも、本当良かったよ」




「ん?」




「あんたと拓っ」




「あ、あぁ…」






そう




2人で遅刻した2ヶ月前のあの日、




あたしと拓は昼休みに桂太君と菜緒を中庭に呼び出し、あっちゃんや霧島の事、そしてあたしが拓に気持ちを伝えた事全てを打ち明けた。



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