30 ???



 私は死んだ。

 そう思っていた。


 けれど死に際に、この世の中にいるのかいないのかよく分からない神様が、わずかな猶予をくれたのかもしれない。


 私はどこかの遺跡の中に運び込まれていた。


 その脇にはなぜか、探検家の少女とよく似た女性と、一人の少年がいた。


 近くには、ドラゴンの骨が置いてある。


 その大きさは、天までとどきそうなほどあった。


「「光の国でまた会えますように」」


 二人は、目の前の私に対して、安らかな眠りが訪れるように祈っていた。


 見知らぬ誰かのはずなのに、その祈りの言葉がとても心地よかった。


 私は安心して、瞼を降ろした。


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