27 広場での出来事



 再びあの町に戻った。


 暗殺者として育ったあの町に。


 竜は見世物のように、鎖につながれていた。


 広場の中央で大勢の人たちが集まって、竜を見つめている。


 竜は、疲れはていた。


 たくさん人に攻撃されたのだろう。


 私が逃げる時、人の注意をひきつけるために、抵抗しなかったのかもしれない。


 傷がたくさんついていた。


 処刑主が広場に姿を現して、難しい事を長々としゃべった。


 今日が処刑の日だったらしい。


 私は、その場に集まった人々かきわけて、竜の前へ急ぐ。


 処刑主の言葉が終わった。


 大きな斧を持った兵士達が竜に近づく。


 人々がヤジを飛ばし始めた。


 私は誰かの足に躓いて転んでしまう。


 その時、人々の歓声がひときわ大きくなった。


 顔をあげて、視線を王子にむける。


 兵士達が、竜の首を断ち切ろうとしていた。


 しかし竜の皮膚は頑丈だった。


 一度では断ち切れない。


 あさく切れた皮膚から血が流れだすだけだった。


 それをみた兵士はまた、首を断ち切ろうとした。


 私は、叫びながら人をかき分けた。


 そして、王子の耳に届くように、声を張り上げた。


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