19 探検家の少女



 ダンジョンに紛れ込んだ少女は、探検家だった。


「実は、歴史に思いをはせながら探検するのが趣味なんです!」


 ここを遺跡と間違えて入ってきてしまったらしい。


 子供だったが、遺跡についての知識は多かった。


 天才だと地元ではもてはやされていたらしい。


 しかし、それで満足しておけばよかったものを。


 好奇心旺盛だった少女は、己の心が赴くままに各地の遺跡を探検する旅に出たらしい。で、ここにたどり着いた。


 ちょっと個性的だったが、少女は普通だった。


 怪我が治るまで、この遺跡に置いておく事にした。

 その際、少女から色々な話を聞く事ができた。


 人間を異形に変えてしまう遺跡があるという。


 その遺跡に紛れ込んだ、遺跡調査隊の一人が竜になってしまったが、気が振れて暴れたため、兵士達によって殺されたのだとか。


 それが本当なら王子の体について何か分かるかもしれない。


 ずっとダンジョンの中に監禁されるのは、正直飽き飽きしていた。


 だから、「王子の体になにかあったら困る」云々的な理屈をでっちあげて、外の世界に出ることになった。


 その際、探検家の少女もいっしょについてくる事になった。


 私の事情を知らない彼女は「いやぁ、仲が良いですね」と能天気だ。


 本当のことを言うと、せっかくの話し相手に逃げられてしまうかもしれないので、真実は胸の中に秘めたままにしておいた。


 私達の事は、身分違いの恋に悩む恋人達だとでも思っているのだろう。


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