15 王子サマがホラー



 ダンジョン脱出は、無理だった。


 最近似たような事を考えた気がする。


 何度も。


 私は何度挫折と絶望を味わえば良い?


 ダンジョン内のモンスター強すぎたし、トラップがやばすぎた。


 区画がごちゃついていて、マッピングせずに踏破するのも無理だった。


 あちこち歩いているうちに、すぐにボロボロになった。


「このままでは奴が来てしまう」と焦りまくるが、体は言う事を聞いてくれない。


 動けなくなったところに、背後から足跡が聞こえてきた。


「ひっ」


 暗殺者になってからは、めっきりなくなってしまった悲鳴をあげた。それくらおぞ気が走った。


 聞きなれた恐ろしい声が耳を打つ。


「どうしたんだい? 外に何か忘れ物でもしたのかい? なら僕がとってきてあげるよ」

「そっ、そうだ。わっ、忘れ物。忘れ物だ!」


 私は適当な品物を言葉にして、王子に取ってくるように頼んだ。


 鳥肌が消えない。

 すぐに視界から消えてほしかった。


 王子は、「おっちょこちょいだね」と笑いながら快く了承。

 その後、ダンジョンの最奥に送り届けられた後、厳重に施錠された。


 王子は「行ってきます」と手を振って、部屋から出ていった。


 私には大人しく見送るしか、選択肢がない。



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