16 王子サマ怖い
三日後。
私の忘れ物を回収しにいった王子は、帰ってきた。
無事だった。
かすり傷一つすらついていない。
服には汚れもしみもない。
王子が持ってきたのは、私が適当に述べた持ち物。の代用品だ。
「ごめんよ。君が言った品物は見つからなかったんだ。だからこれで、許してほしい
私が口にした品物は、あるはずのない物だった。
だから見つからなかったのだろう。
どこかの市場で勝ってきたらしい。
「そっ、そうか。あっ、ありがとう」
私はそれを受け取った。
恐ろしすぎて、実は嘘だっただなんて言えなかった。
心が折れそうだった。
いや、とっくに折れているのに気が付いていないだけかもしれないと思った。
帰ってきた王子は「これでずっとそばにいられるね」と言った。
私は王子とできるだけ距離をとろうと誓った。
そういえば、誰かに向かって感謝の言葉を述べた事なんて、久しぶりな気がする。
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