09 王子サマは天敵



 お散歩することになった。


 困惑した使用人に部屋の片づけを命じた王子は、私を連れて歩く。


 道中で様々な人に「え?」という顔で二度見・三度見されたが、全てやんわりと王子が笑顔で対応。


 おかしな事を言って出会う人すべてを困惑させたまま、華麗にスルーしていった。


 そして、大した邪魔される事もなく、目的地に到着。


 つれてこられたのは城の宝物庫だった。


「王子、気が変わって、私を放す気になったという事はありませんか?」

「何の事だい?」


 ないらしい。


 暗殺者の天敵は自分より強いやつ。

 だけど、予想できない行動をする不審者も同じくらい天敵だ。


 この王子は、まるで行動が読めない。


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