03 淡々とした日々



 それで、暗殺者として育てられてきた私は、様々な人間を殺してきた。


 人を泣かせる仕事もあれば喜ばせる仕事もある。


 時には多くを手にかけた大罪人に、引導を渡した事もあった。

 国の汚い部分を引き受けて、要人をこの手にかけてきたこともある。


 善も悪も意識した事が無い。


 そんなもの、生きるためには役に立たなかった。


 きっと、こんな私にお似合いなのは、誰からも顧みられる事が無い場所で死ぬ末路だけだろう。


 そんな私にある日、国の王子を暗殺する依頼がもたらされた。


 王子は、変わり者だ。


 めったに人前に出てこない。


 病人ではないかとささやかれている。


 この国の者達は、王子に国を任せるのは不安だと噂していた。


 なら依頼は、正義心からなのか。


 湧き出た疑問だが、そんなものすぐに消えてしまう。

 依頼人の事情などどうでもよかった。


 ただ、与えられた仕事をこなすだけ。



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