02 探検家の少女



 王子と暗殺者の死から、数年が過ぎた。


 私は、探検家として世界中のあちこちを渡り歩きながら生活していた。


 かつて赤子だった男の子はすくすく成長して、立派な男性となっている。


 時々私の探検についてきてくれて、サポートしてくれるようになった。


 これまでの探検で、様々な事が分かった。


 私達が生きている世界と同じような世界が、どうやら他にもあるらしい。


 死んだ人間の魂は、その世界「安らぎに満ちた光の地」へと運ばれるようだ。


 しかし、まれに死んでも「安らぎに満ちた光の地」へ行けない魂がいる。


 世界を行き来できないと、魂によどみがたまってしまうらしい。


 だから死者は、自らの魂をそのよどみから守るために、強靭な生き物である竜へと変貌してしまう。


 竜となった人間は「安らぎに満ちた光の地」へ行く事なく、何度もこの世界をさまよっているらしい。


 竜から人へ、人から竜へ。


 悪循環をただすためには、魂の安寧を祈る行為が必要だという事が分かった。


 だから私は、竜と化してしまった人達の弔いを行おうと思う。


 あの少年も賛成してくれた。


 叶うならば、かつて生きていた友人の魂と巡り合い、「安らぎの地へ」送って再会できたら。


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