エピローグ 新しい習慣?

 男子学生たちを搬送してきた二人が宇宙船内で全裸だった事は、少年たちの症状を聞いていた医療関係者たちからすれば、当然の状態だ。

 なので、ホワイト・フロールの裸は、ステーションの入星管理官たちの間では話題になったものの、特に問題視はされなかった。

 地上で救急搬送車に移された男子学生たちも、未成年ということもあり、プライバシーは守られた。


 捜査本部へ報告に上がったら、クロスマン主任は、満面の笑みで迎えてくれる。

「いやあ、二人ともお手柄だったね。ご苦労様」

「「はあ…」」

 主任に関する噂が、頭を過る。

(もしかして 本当に…)

(超能力者なのでは…?)

 釈然としない様子で、王子様のような美顔を憂鬱とさせるマコトと、お姫様の憂いを思わせるユキの愛顔。

「どうかしたのかね? 何か問題でも?」

 クロスマン主任の問いに、二人は焦って否定をする。

「い、いいえ…っ!」

「男子学生さんたちは、とても良い生徒さんたちでしたわ。ホホホ…」

 ねこ耳とうさ耳が自然と伏せて、マコトの尻尾も、一目でわかる程クルクルと丸まったり。

「それなら、何よりだ」

 レディコミの読者層を一瞬で蕩けさせるような笑顔の主任は、何だか叱られるよりも怖い二人だった。


「変な任務だったね」

「そうですわね」

 寮の自室に戻ったマコトとユキは、シャワーで全身を流すと、あらためて明日から貰えた特別休暇に、思いを馳せる。

「なにか、休んだ気がしなかったものね」

「パトロール任務もありませんし、今度こそ 休暇を満喫いたしましょう♪」

 ゆるふわガールはうさ耳をピクんと立てて、短いフワフワ尻尾を左右に振って、特に楽しみ全開な気持ちを隠さない。

 マコトのベッドに転がり込むと、暖かくてスベスベな肌が触れ合って、二人は気づいた。

「あ」

「あら…」

 三日間の医療行為で慣れてしまっていたのか、マコトもユキも、シャワーを終えると全裸のままだった。

「うわぁ…やっぱり クセになってたよ」

 自分に恥ずかしいマコトに比して、ユキはもう順応しているっぽい。

「でも、私たちしかおりませんし。たまには 良いのではありませんか?」

 素直な微笑みでそう告げると、室内照明を静かに落とす。

 ベッドに横たわる二人の裸身が、夜の明かりで仄かに、月光色に照らされる。

「……ま、いいけど」

 白いシーツにくるまって、二人は眠りについた。


                          ~終わり~

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SF ねこうさ ゆりボイン2 八乃前 陣 @lacoon

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