第2話幼馴染ミッション
どうも、私は
雪の里で美しき鈴が鳴る、良き名だよね?
そうだと言え。
現在、17歳。
本日、よそ行きの淡いワンピースに毛糸のカーディガンを着て、彼氏でもない男の部屋にいる。
浮気ではない。
繰り返す、浮気ではない。
当然、寝取りでもない。
えぇい、そのような色恋の地獄パターンからいい加減思考を離れろ!
皆が皆、浮気に不倫に離婚をするわけじゃないぞ!
最近、シングルマザーも増えていっそ小学生のママの半分はシングルマザーと思った方がいいと、ご近所の世話になっているお姉様(シングルマザー)に言われたけれど、そんなのばかりじゃないぞ!
これは彼氏とも共通の親しき友人、
キョロキョロと部屋を見渡す。
六畳一間ユニットバスキッチン付きのワンルーム。
物が雑多に転がり、ベッドの脇に読みかけにしたライトノベルが転がっている。
タイトルから鑑みるに幼馴染ものである。
この男……、やはり徹底しておる、できるな!
ちなみに家主はベッドでまだご就寝だ。
あっ、ストーカーでもないからね!
何度もいうが本人のご依頼だからね。
……私は誰に言い訳をしているんだろう。
さすがに家主の願いとはいえ、家に家主からの出迎えもなく立ち入るというのは、どこか犯罪くさい。
彼氏の家にすら入ったことさえないのに、単独での男の部屋への侵入がコレとはいかがなものか。
その家主の依頼とは大したものではない。
幼馴染の気分を味わいたいそうな。
それだけ聞くと、なんのこっちゃと思うことだろう。
昨日の金曜日、クラスの友人たちで話していた時に、登が幼馴染に朝起こしてもらうシチュエーションの良さについて熱弁したのだ。
ふざけながら私の彼氏である
すると登も。
「おーし、バッチこい!
来てくれたら何かお礼するよ」
そんなふうに冗談交じりで返した。
そんなわけで私たちはデートの待ち合わせの場所を、わざわざ登の一人暮らしのワンルームに指定して、登もノリでそれを返した。
思わず、イイネ、と親指立てて盛り上がってこうなってしまった私は悪くない。
部屋の鍵は開けておくから入って来ていいよ、と言っていたが、本当に部屋の鍵は開いていた。
防犯大丈夫か?
わりとシャレにならないと思うよ?
部屋に入る前に彼氏にメッセージで連絡を取ったが、まだ準備ができてないから先に部屋に入っておいてと言われたので、言われるがままに登の部屋に入ったのだ。
こうして見事、幼馴染計画を実行すべく私は登の部屋への潜入を果たしたのだ。
ちなみにもうすぐ昼だ。
休みとはいえ、よく寝るなぁ〜。
じーっと、登の顔を見る。
私の彼氏の立山君はわかりやすいイケメンで、そちらとは種類が違うけど悪くはないと思う。
そうは言っても、私は顔でどうこうはこだわらない。
短めの髪に軽い冗談を言って、よく笑わせてくれるとても良いヤツである。
気遣いも出来る。
モテる要素はあるのに、何処か良い人止まり。
良い子居たら紹介するからね!
くんくんと半ば無意識に匂いを嗅いでみる。
男の一人暮らしだが変な匂いはしない。
むしろ、落ち着くというか、悪くはない。
幼馴染ラノベが部屋に転がっている以外は清潔感もある。
この男、やはりデキル!
あ、目を開けた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
目を開けた時に、視界のど真ん中に雪里が居ることに、脳の処理が追いつかなかった。
「やっと起きた?」
それが本物であることを気づくのは、しばらく必要だった。
幼馴染との恋愛物だ。
後で考えるとエロ本を転がしてなくてよかったけど、恋愛物を読んでいたのを見られるのは、恥ずかしい。
「お〜、おはよ……」
俺は寝ぼけた頭が目覚めるまでの時間稼ぎに、働かない頭のまま彼女に挨拶する。
彼女、
俺の中ではクラスでトップクラスに可愛らしく、たまに笑うと暖かな花が咲いたような笑顔を見せる。直ぐにそれは恋になってしまった。
そんな存在。
思い出した。
「もう昼だよ?」
首を傾げながら部屋の俺のベッドのそばに立って居る。
ほんわかして全体的に柔らかい雰囲気が彼女にはある。
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