第33話 記憶と手紙の中にしかいない、大事な人達

 俺は昨日トゥルーとレアルから渡された腕時計のプレゼント。

 その箱の中にあった、手紙を見ていた。


 まずレアル。


『ライ、お誕生日おめでとうございます』


『こんな手紙書いたことないので、変な部分あったら失礼します』


『まず、誕生日くらい教えやがれなのですよ』


『さっきプリンスに聞いたから急拵えもいい所なのですよ』


『私から誘ったこととはいえ、他人のことには我が身のように考えるのに、肝心の自分を語ることが少なすぎです』


『簡単に語れるような過去ではないのもわかってます』


『でも、もっとこれからはオープンにしてください』


『私もトゥルーも、あなたの力になりたいから』


『あなたに力を貸してほしいから』


『パーティーとして』


『家族として』


『私は、それ以上とも考えてますけど』


『その腕時計は、日常でも使えるものです』


『どうかそれを日常でつける日々が増えるように、私も努力します』


『龍王の驚異はなくなり、最近は泥棒の天秤が冒険者ギルドの主題です』


『これが片付いたら、私はモルタヴァをもっと良くしていきたいと考えています』


『冒険者ギルドから離れて、地方創生というやつです』


『もしよければですが』


『その時もあなたに隣にいてくれると幸いです』


『最後に何回でも言いますが、私達3人はずっとパーティーです』


『本当にあなたに会えてよかった』


『どうかこれからもよろしくお願いします』



 そしてトゥルー。


『ライお兄さん、お誕生日おめでとうございます』


『実は私が文字があまり書けないので、レアルお姉さんに文字は教わりました』


『変な文字があったらごめんなさい』


『ライお兄さんと会ったのは、私のお母さんとお父さんがいなくなった後でした』


『あの頃、世界を私は恨んでいました』


『自分が奴隷として生きることの不安よりも、人への怖さと許せない気持ちでいっぱいでした』


『そんな私を、ライお兄さんは助けてくれたね』


『私の心を、傷だらけになっても癒してくれたね』


『3人で色んなところに行ったね』


『戦いだらけの毎日で、ライお兄さんは自分が傷つくことを選んでくれています』


『私に出来る事、もっとなんでも言ってね』


『でも私はどんなライお兄さんでも、受け止めます』


『昔の辛いことも、私が受け止めます』


『一緒にマーガレットアイスを頬張りながら、なんでもない事のように話そう』


『私は、あなたに感謝してもしきれません』


『腕時計1つじゃ、受け止めるじゃ足りないくらい、私を変えてくれました』


『ライお兄さんは私の全てです』


『だって、世界で一番好きな人だから』


『だからライお兄さんが戦わなくても済むような、平和なモルタヴァにしようね』


『それで、毎日マーガレットアイスを一緒に食べれるような日常で、ずーっと仲良くしてください』


『これからも、ずーっと隣にいさせてください』

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