第18話

[ 【βρυκόλακας -ヴリコラカス- 】18 ]

『まだやるか?大人しく帰った方が死なずに済むと思うけど。まぁどっちにしろ殺すけどさァ!!』


血魔がそう叫ぶと、身体が霧散したと思えば血の雨となり、辺りに降り注ぐ。


無数に降ってくる雨滴のうちの一つ。


刃を持ち降ってくる粒があった。


「....ッッ!!」


背中を縦に、表面を掠め取るように斬られる。

続けざまに何度も、何度も、じわじわと傷つけられ続ける。


『ほらほら、反撃してみなよォ!!死んじゃうぞォォ!!?』


まるで刃そのものが降り注いでいるかのようだった。

しかし考えろ、向こうは液体だ。思いっきり電気を通すはずだ。

ダメ元だ。やるしかない。

電流を纏ったストライカーを、雨滴に打ち付けるように振り回す。


激しいスパーク音と閃光。

血の雨滴は複数、高圧電流に触れ蒸発した。


「”ストライカー”、バッテリー残り54%」


『痛ってぇえぇなぁぁぁぁあ!!!!』


やはり、ダメージは確実に与えられている。しかし、その量は数滴程度。

あくまで微々たるダメージでしかない。

だが時間だけは稼がせてもらおう。


絶え間なく降り続ける刃の雨に、ストライカーを振るい続ける。


「”ストライカー”、バッテリー残り43%」


『無駄な抵抗してねーでとっとと細切れになれェェ!!』


攻撃がますます激しくなる。

皮膚は裂け、血が噴き出る。


「”ストライカー”、バッテリー残り24%」


『我慢比べしようってんなら甘いぞ四つ葉がァァアァ!!!』


多量の出血により、意識が遠退き始める。

地面は真っ赤に染まり、血の水溜まりすらできていた。


「”ストライカー”、バッテリー残り11%」


『クソがァ....そろそろ死ねぇえぇぇぇ!!!』


「”ストライカー”、バッテリー残り、0%。システムをシャットダウンします」


アナウンスと共に電流は消え、ストライカーは元の金属棒に縮む。

同時に頭上で血の雨は一つの霧となり、元の姿へと戻る。

隻腕となった血魔の構える刃が、真っ直ぐ脳天に突き刺さる。


「.......まだ、聞けてなかったのにな。続き」

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