#12 思わず「なるほど」と口に出してしまうなぞなぞ

浦見「どうも、浦見みぎりです」

淀川「淀川水面です」

浦見「今日のお便りは、ラジオネーム【みぎりの右耳見る水面】さんから」

淀川「早口言葉か」

浦見「見ないで下さい」

淀川「見てねぇよ。今は」

浦見「つまり普段は見てるんですね」

淀川「ちょっとくらい良いだろ。減る訳じゃないんだから」

浦見「嫌です」

淀川「何で?」

浦見「取り立てて見てほしい部分じゃないからです」

淀川「逆に、取り立てて見てほしい部分があるのか?」

浦見「そ、そういう意味じゃありません」

淀川「正直に白状しろ。ここか? ここか?」

浦見「や、止めて下さい。目を潰しますよ」

淀川「怖っ」

浦見「潰されたくなかったら、進行の邪魔しないで下さい」

淀川「進行って、大した事してないクセに」

浦見「改めまして、ラジオネーム【みぎみのみみぎみ見る水面】さんから」

淀川「おい、今噛んだだろ。みぎみって誰だよ。耳気味って何だよ」

浦見「か、噛んでません。黙ってて下さい」

淀川「……後で絶対に聴き直す」

浦見「質問内容。とっておきのなぞなぞをお願いします」

淀川「なぞなぞ?」

浦見「正解が分かった時、思わず『なるほど』と口に出してしまう、秀逸ななぞなぞをお願いします」

淀川「面倒くせぇ……」

浦見「あと十秒で出して下さい」

淀川「……………………好きな女性といると、すぐにたってしまうものとは何でしょうか?」

浦見「……え?」

淀川「聞こえなかったか? 好きな女性と一緒に」

浦見「き、聞こえています。何度も言わないで下さい」

淀川「じゃあ答えをどうぞ」

浦見「……そ、そんなの、一つしか無いでしょう」

淀川「一つしかないなら早く答えろよ」

浦見「だから、その、あれです」

淀川「あれって何だよ?」

浦見「……配信が終わったら、お仕置きですからね」

淀川「おいおい。言われた通りなぞなぞを出したのに、お仕置きするつもりか? 勘弁してくれ」

浦見「こんな問題を出せとは言っていません」

淀川「なるほど。お前には難し過ぎたか」

浦見「……ほぼ分かってるんですよ」

淀川「ヒント、要るか?」

浦見「……一応、聞いておきます」

淀川「今もたってるぞ」

浦見「っ!」

淀川「驚き過ぎだろ」

浦見「お、驚くに決まっているでしょう。早く元に戻して下さい」

淀川「無茶言うな」

浦見「言ってません。貴方次第でしょう」

淀川「俺の意思ではどうしようもない」

浦見「貴方以外にはどうしようもないでしょう」

淀川「ストップ。この会話、ヒントになるから」

浦見「……分かりました。もういいです。言ってやります」

淀川「マジか」

浦見「答えは、………………ち」

淀川「ち?」

浦見「…………………………………………………………………………………………………………ご、ごめんなさい。勘弁して下さい」

淀川「――正解は『時間』だ」

浦見「……じ、時間。ですか?」

淀川「好きな人と一緒にいると、時間はすぐに経つだろ?」

浦見「……そういう事ですか」

淀川「ちなみに、さっきお前は何て言おうとしてたんだ?」

浦見「うるさいです」

淀川「うぐっ。だから叩くなって」

浦見「怒りますよ」

淀川「もう怒ってるよ」


浦見「……ヒントの時、遠回しにラブコールしてましたよね」

淀川「ラブコールって言うな。恥ずかしい」

浦見「恥ずかしかったのは私の方です」

淀川「え? 何で?」

浦見「しつこいです」

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