『殺したガールと他殺志願者』ラジオSSまとめ

＃11 Sですか？ Mですか？

浦見「どうも、浦見みぎりです」

淀川「淀川水面です」

浦見「本日のお便りは、ラジオネーム【淀川水面つまらん】さんから」

淀川「だったら聴くなバーカ」

浦見「お便りの内容を考えて下さい」

淀川「こいつ何がしたいんだよ……」

浦見「架空の質問、考えるの大変なんです」

淀川「ラジオネームの次は質問内容か」

浦見「ウィットに富んだ質問をお願いします」

淀川「言う前にハードル上げるの止めろ」

浦見「ハードルを下げたら誰も聴きません」

淀川「そもそも誰も聴いてねぇんだよ」

浦見「人に頼らないと頑張れないんですか？」

淀川「一人で頑張れる奴の方が稀だろ。俺には無理」

浦見「今ここには二人いますよ」

淀川「……くそっ」

浦見「では、お願いします」

淀川「……マイブームを教えて下さい」

浦見「無難な所に逃げましたね」

淀川「うるせぇ。これでも絞り出したんだよ」

浦見「もっと会話の弾みそうな内容でお願いします」

淀川「Sですか？Mですか？」

浦見「……変態ですね」

淀川「おいおい、勘違いしてもらっちゃ困るぜ。俺は服のサイズの話をしたんだ」

浦見「Lサイズがありませんでした」

淀川「お前、Lサイズなんか着ないだろ？　だから親切に外してやったんだ」

浦見「むしろ不親切です。誤解を生みます」

淀川「どうして？　Lサイズを選択肢から外すと、どんな誤解が生まれるんだ？　俺にはさっぱり分からな痛ぇっ」

浦見「水面さんのクセに、調子に乗らないで下さい」

淀川「だからって叩くなよ。暴力反対」

浦見「暴力ではありません。武力です」

淀川「一緒だ」

浦見「全然違います。暴力とは、後先を考えず私利私欲のために力を行使する事です」

淀川「へぇ。つまり俺は、後々の事を考えて公益のために叩かれたって事か？」

浦見「そうです」

淀川「嘘吐け。お前がムカついたから叩いただけだろ」

浦見「なるほど。私をムカつかせているという自覚はあったんですね」

淀川「しまった……！」

浦見「どうやらお仕置きが必要みたいですね」

淀川「け、結構だ。ノーセンキュー」

浦見「口では嫌がっておきながら、逃げないんですね」

淀川「このラジオが止まったら、何をされるか分からないからな」

浦見「配信中は何もしないと思ってるんですか。おめでたい人です」

淀川「分かったぞ。聞くまでもない。お前はSだ」

浦見「はい。私が着ている服はSサイズですよ。何か問題でも？」

淀川「黙れサディスト」

浦見「失礼ですね。私がいつ貴方を虐めたんですか？」

淀川「今だ」

浦見「これは虐めじゃありません。教育的指導です」

淀川「一昔前の体罰教師かよ」

浦見「相手は言葉の通じない動物なんです。身体に叩きこむしかないでしょう」

淀川「通じてるじゃねぇか」

浦見「読唇術です」

淀川「言葉の通じない相手に読唇術は使えないだろ」

浦見「……あ、愛は言葉の壁を簡単に超えるんです」

淀川「……言葉の壁は、お前が勝手に作ったんだよ」

浦見「貴方の愛を図るために、あえて壁を作ったんです。さぁ、越えて下さい」

淀川「……アイラブユー」

浦見「……ミートゥー」

淀川「ウォーアイニー」

浦見「サランヘヨ」

淀川「ジュテーム」

浦見「マハールキタ」

淀川「……何語？」

浦見「タガログ語です」

淀川「何で知ってるんだよ……」

浦見「種切れですか？」

淀川「……愛してる」

浦見「……日本語は反則です」