#2 お互いの好きなところを教えてください


浦見「こんばんは。浦見みぎりです」

淀川「淀川水面です」

浦見「大好評につき、二回目の放送です」

淀川「適当な事を言うな」

浦見「それでは、本日もお便りの方を紹介したいと思います」

淀川「そのスタンス、ずっと続けるつもり?」


浦見「ラジオネーム【読んでくれないと殺す】さんから」

淀川「怖っ」

浦見「お互いの好きなところを教えて下さい」

淀川「……自分で言ってて恥ずかしくないのか?」

浦見「う、うるさいです。早く言って下さい」


淀川「……無邪気な所、かな」

浦見「馬鹿にしているでしょう」

淀川「褒めたんだよ」

浦見「怪しいです」

淀川「本当だって」


浦見「だとしても、先んじて挙げるべき点が他にあるでしょう。理知的な所とか、所作の美しさとか」

淀川「自己評価、高いな」

浦見「妥当な評価です」

淀川「評価軸、見直した方がいいぞ」


浦見「……私、理知的じゃないですかね?」

淀川「評価自体に文句をつけるつもりはない。そういう所と無邪気な時のギャップが……か、可愛いっていうか」

浦見「……な、なるほど」

淀川「……次、お前の番だぞ。早くしろ」


浦見「照れた時、すぐ顔に出る所。ですかね」

淀川「馬鹿にしてるだろ」

浦見「褒めたんです。曲解しないで下さい」

淀川「嘘つけ」

浦見「感情表現が豊かなのは美徳ですよ」

淀川「豊かな訳じゃない。隠せないだけだ」

浦見「結果は同じです」

淀川「お前、あれか。味さえ良ければ料理の見栄えは気にしないタイプか」

浦見「そうじゃなかったら、貴方と一緒にいませんよ」

淀川「おい……」


浦見「料理に関しては、時と場合と相手によります」

淀川「俺が相手だったら?」

浦見「……いちいち言わせないで下さい。いやらしい人ですね」

淀川「いやらしくはないだろ。いじらしいだろ」

浦見「いじらしいと自ら主張している時点でいじらしくありません。いかがわしいです」

淀川「いかがわしくはないだろ。甲斐甲斐しいだろ」

浦見「甲斐性の欠片もありません」

淀川「……くそっ、否定できない」


浦見「つまり貴方は、いやらしい上にいかがわしい甲斐性なしです。証明完了」

淀川「最低の人間じゃねぇか……」

浦見「そんな最低な人間の横にいる私こそ、いじらしくて愛らしい甲斐性の塊です」

淀川「ついでに気高くて美しくて凛々しいよな」

浦見「……あ、ありがとうございます」

淀川「更に可憐で怜悧で博学で」

浦見「もういいです。結構です」

淀川「優美で華麗で礼儀正しくて」

浦見「止めて下さい。恥ずかしいです」

淀川「丁寧で真面目で慎ま痛っ」

浦見「お仕置きです」


淀川「……口で言えよ」

浦見「口で言っても止めないでしょう」

淀川「止めるつもりがないからな」

浦見「こういう時だけ弁が立つんですね」

淀川「褒めるな。照れるだろ」

浦見「褒めてません。皮肉です」


浦見「そろそろラジオ切ってもいいですか?」

淀川「お好きにどうぞ」

浦見「次回も聞いて下さいね。じゃんけんポン」

淀川「何を出したか口で言えよ……」


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