女子バスケ部制服流出事件
第1話
「それで、大体の経緯は掴めたの?」
長く艶やかな髪を
つんと尖った二重の目は、僕にギラリと視線を向けた。
「いや全然…」
「まぁそうでしょうね。私にも意味が分からないわ」
後ろに片づけられた机をくっつけ、僕と彼女は話し合っていた。いや、一方的に彼女が話し続けていると言った表現の方が正しいだろう。梅雨入りしたおかげで、ここ数日雨が降り続いているからか、教室内も少し空気が重苦しい。
僕は手元にある資料を手に取った。これも彼女が作ったものだ。
【女子バスケ部制服、流出事件】
表紙に記された題を見て、僕はパラパラとページをめくった。
事の発端は約一週間前、5月24日に遡る。夏の大会が近づくこの時期、多くの部活が各自の目標に向けて練習に励んでいた。もちろん女子バスケ部もその一つだ。
彼女たちは部室で着替えを済ませ、2時間ほどの練習を行った後、部室に戻ったらしい。異変に気づいたのはその時。閉めたはずの鍵が空いていたとのことだ。
不思議に思った生徒の1人が部室を覗くが、特に荒らされていたという形跡はなかった。
しかしその後、部員12人中4人の制服が盗まれている事が判明した。
本校「
しかし、事件はそれだけでは終わらなかった。
翌日盗まれたはずの4人の生徒の制服がゴミ袋に包まれた状態で校門の前に投棄されていたのだ。
中身を見たところ特に汚れた様子もなく、それらからは指紋等、犯人と思われる証拠も見当たらなかった。
警察も事件性を重視した結果、この件には首を突っ込まないようにしたらしい。(まあ制服も帰ってきたわけだし)
ここがわからないのだ。なぜ制服を1日だけ盗んだのか、犯人側に何のメリットがあるのか、そこが謎に包まれている。
「ったく、日本の警察はこれだから…」
口を尖らせながら真実さんは言った。
しかし、本当の真実を突き止めたいという女子バスケ部の想いから、僕たち"探偵捜査部"、通称「探査部」が始動したのだ。
と言っても僕と真実さんの2人だけだが…
「とりあえずこんな話し合いしてても意味がないわ。行きましょう」
すっと立ち上がり彼女は言ってきた。
「行くってどこに?」
「決まってんでしょ、女バスの部室よ!」
「いやでもあこは女子部活専用棟にあって、男子は立ち入り禁止で…!」
断る隙もなく、僕は彼女に腕を掴まれ女子専用棟に出向くことになった。
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