第3話 宴の時間

後日。

王城・宴会会場にて。

あ、訳あって、 べリスのクソやろ…ベリスが不在のため、グレイが語ります…。


「では、改めて。勇者一行よ!よくぞやってくれた!今夜は思う存分楽しんでくれ!」

王様の言葉を合図に、会場からは拍手が巻き起こった。

多くの人が私たちのところに来て、世界を救って来れてありがとう!とか、おかげで安心して眠ることができます!とか、嬉しいことばかり言ってくれた。

うんうん。世界救っただけの価値はあるな。

よきかなよきかなー。

「ところで勇者殿はいづこかな?」

壇上から降りると、王は私たちに問いかける。

嫌なことを思い出し、溜息をつきながらも私たちは答える。

「「それが…」



「か…カジノで全額使い果たした…とな?」

「「面目次第もございません…」」

王様らしからぬ口をあんぐりと開けた顔をしていた…。

「い…いや、好きに使ってくれ、といったのはこちらであるし、も…問題はない…」

王様、すんごい動揺してる・・・。いや、しない方がおかしいのだけれども。

「それだけならただの頭がおかしいやつなんですが…」

「まだあるのか!?」

うん。というかここからが本題だ。


「賭博場で暴れてつかまったああああああああああ!!!???」

その途端、辺りがざわめき始めた。まぁ、当たり前だよね…。

「なんと・・・。勇者ともあろうものが…。なんと・・・」

落ち込みようがひどかった。これも当たり前か…。私たちの場合は呆れのほうが強かったけど。

「ま、まぁよい。いやなことは忘れて楽しんでくれ」

立ち直りようもすごかった。

今度は別の意味でざわざわする。他の人にははっきり聞こえなかったようね。


「そ、そうだよ!せっかくの宴なんだ!楽しもうぜ!!」

ケインもそこそこ切り替え早いです…。

と思ったら頑張って笑顔作ってました。

口角ひくひくしてる。

流石私のナイト様…。


「ケイン様!この度は魔王討伐ありがとうございした!これで自衛隊も活動しやすくなるというものです!」

なんかゴツい人が現れた。口ぶりからするに自衛隊の偉い人だろう。

「あ、はあ。ども」

ケインのコミュ症も現れた。

「ところでケイン様。自衛隊に興味があると伺ったのですが…」

耳が早いなお前ら。

「あ、まぁ」

そしてナイト様疎いな。もっと喜べよ。

「是非加入していただけないでしょうか!ケイン様がいれば100人力…いや万人力というものです!!」

万はいいすぎじゃね?

「いいんですか!?なら、お言葉に甘えて…」

周りの視線が、うわーあいつやりやがったよ、勇気あんなー、みたいな感じだったけど気にしない気にしない。さて、私も便乗便乗。

「あのー。私も興味あるかなーなんて…」

「なんとグレイ様まで!是非喜んで!!!」

周りの視線が更に酷くなった気がしたけど、気にしない気にしない。

あー。ベリスも来れば仕事見つかっただろうに。マヌケだなー。あ、このケーキ美味しい!!

「おや、グレイ様そのケーキがお好みで?グレイ様はお料理がお上手と伺いました。良ければ我が店で…」

ふぉおおおおお。私モテモテだーー!世界救ってよかったー!


そして宴会は無事に終了した!



その時、私は知らなかった。 グレイとかいう変な存在が牢屋にぶち込まれたら何をしでかすか、ということを…。

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