第3話「ダイヤの行方」
直ぐに供養してやらねばなるまい
葬儀の準備だ 最後の罪滅ぼしだ
たったった せっせっせ やらねばなるまい
クラブは今も ばったり 起きない
冷や汗垂らし 弱虫だから
ダイヤは静観 ぱったり やらない
頭の回転 速いから
昨日から せっせと 準備していた
殺されない策を あれやこれやと 画策していた
「ジョーカーのことを知っているのは兄弟だけだ。
ダイヤはかんがえた
殺されない為にと そうだどうだと 家を飛び出た
だけどもすこしお間抜けだ
金の勘定ばかりで ジョーカーの感情まで 計算していなかった
兄弟の考えくらい 見抜けるさ
だってそうさ ずっと見てきた スート兄弟
兄弟の考えなんて筒抜けさ
***
一晩経った 夜が明けた
あの子がいなくなった
スート兄弟 顔合わせ
クラブは腰を抜かして戦慄いた
ハートは首を垂らして頷いた
「ダイヤは? ダイヤがいない」
クラブは言った
口はあんぐり
目はびよよん
手はうねって泣いている
それもそのはず ダイヤは既に家にいない
クラブとハートは大慌て
スート兄弟 ダイヤの部屋
がちゃだんどん
ノックもせずにドア開ける
「どういうことだ。ダイヤがいない」
「荷物も何も、もぬけの殻ですね」
「なにがあった。ダイヤはどこだ」
それもそのはず ダイヤは既に家にいない
クラブとハートは大慌て
さっぱり読めない 解らない
けれどもどうだ
ただいま報告きたそうだ
ダイヤの仲間の2がきてこうだ
肩がどっくん 震えていたのだ
慌てて 息吐き ぜっはっはっ
ぶるんと唇 突き出した こう言った
「ダイヤが殺されました」
クラブとハートは顔合わせ
言われた場所へと行き急ぐ 息上がる
来てみりゃどうだ なんて残酷
どうしてこうなる なんて残酷
家の庭先 進んだ先
血に染まった赤い草
べちょり べちょり べっとりな
ダイヤの面影失ったとさ
四肢も胴体もバラバラだとさ
またもや首だけないけどね
スート兄弟座り込む
クラブはどん底
がっくり
だらだら
涙が止まらない
「もうだめだ。僕も殺される」
「何を言います。次は私かもしれません」
クラブはぶるぶる首を振る
「順番なんだ。スペードが言って、ダイヤが考えて、次は絶対僕なんだ」
ハートは哀れむ
クラブをハグする
「今日は一晩一緒にいましょう。共にいれば問題ありません」
クラブは べしょべしょ 泣いている
ハートは ぎゅっしぎゅっし あたためる
クラブの服は ぐちょぐちょ 濡れる
クラブは 笑った
ハートは 笑った
顔なしダイヤは 笑えない
ポッケの中は 血だらけ 真っ赤
バラバラ 紙幣も 真っ赤だね
バラバラ ダイヤも 真っ赤だね
***
夜が来た
一晩一緒だ 怖くない
あの子はまだ生きている
スート兄弟 二人の兄弟 見合わせる
クラブとハート 手を握り合い 確かめ合う
あの子はまだ生きている
「クラブ! 私はいます」
「ハート? ハートはいるね」
「はい……ここにいます」
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