第10話 中国で会社設立(法人設立)するための8ステップを解説

前回は「中国に進出する企業のよくある勘違い」と題して中国進出に際して注意しておきたい認識のすれ違いについて共有させていただきました。



今回はいよいよ中国進出のまとめとして中国で会社設立(法人設立)するためのステップを8つにまとめて解説させていただきたいと思います。


ここでは、もっとも一般的な進出形態である、現地法人としての会社設立(法人設立)について、流れを記載します。




ステップ1:中国法人の会社名(商号)の予約(工商行政管理局)


会社設立(法人設立)の手続き前に、使用したい会社名(商号)について、地方工商行政管理局からの承認を受ける必要があります。


中国法人として会社設立(法人設立)する場合は、自由に会社名を選択できますが、小規模な場合、必ずその会社名に、その地方の地名を入れなければなりません。


例えば「上海○○○飯店有限公司」というふうに会社名を見て、業態が分かるような名前が通例になっています。商号を工商行政管理局から、書類を貰ったならその商号は6ヶ月間有効となります。


商号予約には費用は必要有りません。




ステップ2:董事の選任


中国で会社設立(法人設立)するためには董事(取締役)が必要になります。


非居住者でも董事(取締役)に就任することはできます。


ただし、日本から現地へ董事(取締役)を派遣する予定でも、会社設立が完了するまでは、就労ビザの申請ができないため、居住者として董事(取締役)に就任することはできません。


そのため、初めて中国へ進出する企業の場合、会社設立代行業者や会計事務所・日系コンサル会社などに依頼する方が多いようです。




ステップ3:会社設立(法人設立)のための章程(定款)作成


中国法人の章程(定款)を作成します。


ほとんどの場合、会社設立代行業者や会計事務所・日系コンサル会社などが用意するフォーマットに従って作成します。


章程(定款)に記入する事項は、会社名、本店所在地、業務内容、資本金額、投資者投資比率、や、投資者(発起人)の氏名・住所・職業・引受株式数などが必要になります。


投資者(発起人)董事に就任するには、日本の戸籍謄本に日本有る中国在外公館の認証が必要です。



ステップ4:政府批准及び工商行政管理局にて会社登記


地方政府に於いて外資会社の批准を行い、その批准が終了後工商行政管理局(日本法務局に相当)にて登記申請を行います。


通常は日系コンサル会社に批准や登記依頼をする事が通例になっています。




ステップ5:労働許可証及び就労ビザ(居留証)の申請


会社が設立された後、現地に赴任する取締役などのビザ申請が可能になります。


ビザが取得できれば居住取締役として就任できます。


ビザの取得に関しては、会社設立をサポートした業者や会計事務所が対応していることがほとんどです。


中国の場合、Zビザを日本の中国在外公館で取得致します。


そのZビザ発給後30日以内に中国居留証に変更する義務があります。


Zビザで、入国しその間に地方労働局で「外国人就業証」の申請を行います。


通常1から2日間で下りてきます。その外国人就労証を基に居留証の申請です居留証は、居留目的が書いてあり「工作」と書いてあります。


(各地の出入国管理所に申請します20日間くらいで居留証が認められます)通常居留証は1年間です。




ステップ6:第一回董事会(取締役会)開催 (書面でも可能)


会社設立(法人設立)の後、最初の董事会(取締役会)を開催します。


この董事会で、董事長の決定や董事会で総経理(日本での代表取締役社長)の選任を行います。




ステップ7:銀行口座の開設と資本金資金の送金


設立した会社名で法人口座を開設します。


銀行によって開設のための手続きや期間が異なるため、詳しくは会社設立代行業者や会計事務所に聞いて頂くのが良いかと思います。


銀行口座が開設できたら、資本金額が送金できます。


中国の場合、資本金銀行口座と事業銀行口座を区別する必要があり、外貨口座(その通貨別)と人民元口座の区別も必要です。




ステップ8:会社会計士の選任


会社設立(法人設立)後、すぐ選任する必要があります。


会計士は、公認会計士の資格が必要です。毎月月次決算を申告する必要が有るため、最初の取締役会で選任してしまうことが多いようです。


いかがだったでしょうか?


以上のようなフローを頭に入れて進出に関する事業戦略を策定して守備よく進めていきましょう。


さて次回は、実務上の話として会社設立(法人設立)時に必要な書類・準備について解説させていただきます。

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