第4話 超能力

「これ、お前に関係があるんじゃないか?」

「教科書? そういえば白銀さんに先週の金曜日に借りたやつね」

「言いにくいんだが、白銀さんが行方不明らしいんだよ」

「行方不明?」

「いや、渡瀬が勝手に言ってるだけだが、確かに数週間学校に来ていないらしい。ただ、詩織が言うには先週の金曜日までは行方不明になっていないことになる」

「もし、あれが白銀さんじゃなかったとしたらあれは一体誰なの?」


 不思議そうに言ってくる。俺に言われても困るんだが。


「放課後、資料室に来て」

「了解」


 机の上に教科書を置いてそれを取り囲むように俺の対面には詩織が座っている。


「それじゃあ、始めるか」

「どうぞ」

「まずは、渡瀬が数週間前から来なくなっていると言っているのに対して、詩織は先週の金曜日までは存在しているような言い方をしている」

「確かにいたのよ。でもそれが白銀さんかと言われると自信がなくなっちゃうかも」

「まあ気にすることはない。仲がいいなら大丈夫」

「そんな曖昧なことを言われても」

「……じゃあ、続きだな。これに関しては少し思い当たることがある」

「どういうこと?」

「認識の問題だ。いわば、超能力の問題にもなってくる」

「ちょっと待って。超能力?」


 勝手に口にしていた言葉。超能力。なぜか知っていたというよりも、覚えていたものがパチっと開いたような感じがした。ただ、それに関して詳しく追求したいところだが、今はあまり関係無さそうだ。


「信じられないと思うが、とりあえずはそういう体で聞いてくれ」

「分かった」

「超能力なんだが、認識に関するものと思われる。それは他人が意識して簡単に見れるものではない。認識して存在する考えが必要になってくる」

「つまり、存在しているものに対して認識しているのが勝手に脳が行っているということ?」

「確かにあっているが、それだけでは足りていない。もう一つの条件としては彼女自身の検問みたいなものを開ける必要がありそれを開閉しているんだ」

「そうなると、渡瀬くん? は白銀さんのことを考えただけで認識をしてもそれはあまり重要ではないから白銀さんは気にしていない……じゃなくて、そもそも白銀さんは普通見えていない存在ってことになる……」

「そういうことになるな。結果としては彼女自身があまり人と関わりたくないという思いから超能力を生み出してしまったんだろうと思う」

「超能力ねぇ……現実にそんな物があったなんて信じられれないけど」

「俺自身の自己満足みたいな解決方法になってしまったし、なぜか知っていたのも不思議に感じるが、解決してよかったな」

「ここまでする必要はなかったね」


 そうして無事に白銀さんに教科書を返せたらしいが、未だに俺は彼女のことを見ることが出来ていない。いつになったら見れるようになるのだろうか。

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