第110話死神騎士……その正体は……

 俺達はゼノスに案内され、ある場所にたどり着く。


 そこには、ゼノスの言う通りにキングクラスがうろついている。


 ゴブリンキング、オークキング、トロールキング、オーガキング、そして……。


「おい、ユウマ。あれは、なんだ?」


「あれは……なんでしょうね?」


 なにやら、スケルトンらしき魔物がいる。


 黒い鎧を身に纏い、黒い大剣を肩に担いている。


 その大きさは、普通のスケルトンより一回り大きく2メートル前後。


 何より、纏っているオーラが桁違いだ……!


「あれは……死神騎士……!」


「セレス殿、ご存知で?」


「……ああ。死んだ者の骨で出来たのが、スケルトンだ。生前の記憶はない。ただ、稀に生まれるのだ。生前の記憶こそ曖昧だが、生前の強さを持った者が……!おそらく、過去の英雄だろう……。その強さは、計り知れない……!」


「なるほど……確かに、威圧感は特級クラスですね。でも、あいつ動きませんね?」


「やはり、何かを守っているのでは?戦力をどう分けるかだな」


 ほかの皆は、黙って話を聞いている。


 どうやら、俺とセレス殿に任せるようだ。


「まずは、飛竜達を任せてもいいですか?」


「良いだろう。我等は、風の魔法に秀でている。適任だろう」


「討ち漏らしは、ホムラに任せます。ゼノス、いいか?」


「ん?なんだ?」


「お前の、本当の力はどのくらいだ?」


 俺は、これが気になっていた。

 何人味方がいたのか知らないが、国王を含めて倒せるくらいだ。

 俺の知る強さではあるまい。


「……はぁ、そうなるわな。自分で言うのもなんだが、一級はあると思うぜ?」


「なるほど……。では、トロールキングを倒してくれ」


「わかった、任せろ!」


「次に、シノブとエリカ」


「「はいはーい!!」」


「……仲が良いことで。お前達は、オークキングを頼む。一体ずつ引きつけて、倒していけ。シノブ、頼むぞ?」


「まっかしといてください!姉妹の力を見せる時です!」


「そうなのです!!」


「いや、エリカ。口調は真似なくていいからな?……はぁ、では叔父上」


「俺がどっちだ?」


「叔父上は、オーガキングを。それも、なるべく瞬殺で」


「ククク……おもしれぇ……!1発で終わらせてやる……!」


「俺が死神騎士とやります。おそらく、回復魔法が有効でしょうから。俺なら、戦いやすいはずです」


 獣人族には、ゴブリンキングを任せることにした。

 これで、作戦は整った。

 後は、やるだけだ!





「では、お願いします!」


「うむ!行くぞ、皆の者!我等の力を見せるのだ!」


「ハァァァァ!!!!」


 ハーフエルフ達の背から、風の刃が出現し、飛竜に飛んでいく!


 それは見事に翼を切り裂き、飛竜はバランスを崩し落ちてくる!


「では、見せよう!エルフの力を!……天空より飛来し、敵を討ち滅ぼせ!サンダーボルト!!」


 急に空が暗くなり、そこから雷が降り注ぐ!


 飛竜は黒焦げになり、塵になっていく……!


 これが、本来のエルフの力か……!


 これなら、任せられる。


「では、各自それぞれ役目を果たしてくれ!行くぞー!!」


「おうよ!」


「いっきまーす!」


「行くよー!」


「行くとするか」


「ワタクシにお任せを!」


 それぞれ動き出し、敵と対峙していく。


 俺は死神騎士の前に立つ……。


「その気配、宝剣の力……!相手にとって不足なし……!」


 なんと、カタコトだが喋ったぞ!?

 人語を話すのいうことは、強いということだ。

 知性があるということだからだ……!


 すると、いきなり切りかかってくる!

 速い!!


「ハァァ!」


 剣と剣が交差する!

 そのまま、鍔迫り合いになる!


「ほう?腕もいいと。これは、楽しみだ……」


「アンタこそな……!馬鹿力だな……!」


それがしは結界の守護者である。何故だ?貴様から、懐かしい気配がする……?」


「そんなことしるか!」


 俺は力を込め、相手を押しながら引く。


 これで距離ができた……!


「魔斬剣!!」


「む!」


 砂埃が舞う……どうだ?


「魔力を飛ばす?それは、ウィンドルの秘儀の一つ。どういうことだ……?」


 どうやら、俺は本当にウィンドルの人間だったみたいだな……。

 まあ、どうでもいいがな!

 というか、ダメージなしか……!


「次だ……!エクストラヒーリング!!」


「グオッ!!聖なる光……!しかも、これは……ウィンドル王家の技……!」


 王の一族だと……?

 いや、今は考えるな……!

 当たり前だが、これは効くようだ……!


「ミストルティン!!持っていけ!!」


 ミストルティンが、碧いオーラに包まれる!

 イメージしろ……回復魔力を纏うように……!

 光り輝く、聖なる剣を……!……今……!


「魔を払え!聖光剣!!」


 碧い魔力の波が出現し、死神騎士に迫る!


「強いな……。我が主君に匹敵するやもしれん」


 骨の所々が崩れかけて、満身創痍の状態になっている。

 後、一息といったところか……。


「お!ユウマ!まだ、やってたか!」


「もう倒したんですか!?」


 相変わらず、化け物だな……オーガキングを1人で瞬殺してきたようだ。


「お前が瞬殺って言ったじゃねえか。……なんか、変なんだよなー。ここに来て力が湧くというか、来たことないはずなのに、見覚えのあるっつーか……」


「叔父上もですか……。何故でしょうね?」


「もしかしたら、俺にも前世の記憶があるのかもな……。まあ、いいか。俺は俺。お前はお前。俺は叔父、お前は甥っ子だ」


「……そうですね。今は、それだけでいいですね」


「……そんな……まさか……主君……?」


「うお!喋ったぞ!?」


「やはり……そうだ。デュランダルとティルフォングが何よりの証拠……」


 その時、ティルフォングが光り輝く!


「うお!?なんだ!?……そうか、そうなのか」


「叔父上?」


「ユウマ、悪いがトドメは俺にやらせろ。ティルフォングがそう願っている」


「ええ、構いませんが……この強さ……ティルフォング……結界の守護者……まさか」


「おお……!いつぶりだろうか……!主君と遊べるのは……!」


「ああ、遊んでやるよ。本気でこいよ?じゃないと、すぐに終わっちまうぜ?」


 そして叔父上は、ティルフォングを死神騎士に投げる。


「消えたと思ったら、そうだったのだな。我に代わり主君を助けてくれたのだな……。では、参る!!」


 死神騎士は、満身創痍とは思えないスピードで叔父上に迫る!


 デュランダルと、ティルフォングが激突する!


「おお!いいな!強いな!」


「この感じ……!何百年振りだろうか……!」


 2人は一歩も下がらずに、剣戟を繰り広げる!


「どうした!?もうへばったか!?」


「ヌウゥ……!あの頃のまま……いや、それ以上……?それでこそ、我が主君であり、目標だったお方……!」


 凄いな……叔父上と互角に渡り合えるとは……。

 もし奴が生前の姿だったら、俺では勝てたかどうか……。

 今は回復魔法が効果覿面だから、倒すのは難しくないがな……。


 そのまま、戦い続く。

 だが、終わりは近いだろう……。



「団長ーー!!」


「ユウマーー!」


「お兄ちゃんーー!」


「ユウマ殿ーー!」


 どうやら、全員倒せたようだな。

 まあ、大した心配はしていなかったがな。

 皆で、戦いを見守ることにする。


「なんだか知らんが、懐かしい気がするな」


「某もです……。楽しかった日々を思い出します。長かった……」


「……正直言って、俺には前世の記憶とやらはない……だが、それでも言おう。お前の忠義に感謝すると……」


「おお……!有難き幸せ……!まさか、またその台詞が聞けるとは……もう、思い残すことはない……。では、某の最後の一撃参ります!」


「ああ!こい!全てを受け止めてやる!」


 2人が同時に駆け出し、交差する!


「ああ……これで、某の役目も……」


「あばよ……強かったぜ」


 死神騎士は塵のように消えていく。


 すると、何かが割れる音がした。


「おい!ユウマ!後ろだ!」


 振り向くと、どでかい城が出現している……!

 どっから現れた……いや、そういうことか。


「おそらく、あの死神騎士が結界の役目を果たしていたのでしょうね」


「そういうことか……。じゃあ、いよいよだな?」


 そう……これが、最終決戦かもしれない……!









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