第105話奴の名はゼノス-トライデント

 ーーここは……また例のやつか?




「パスが途切れた……?ヒュドラが倒されたということか……?我の天敵である、デュランダルの使い手を殺すために用意した、とっておきの魔物が……!あれは、1人では倒せないはず……!おのれ!!我がここから動ければ……!」








「ウィンドル様、失礼いたします。ただ今、帰還しました。飛竜に乗って来ましたが、時間がかかり申し訳ありません。転移魔法が使えれば、いいのですが……」


「おお、帰ったか。仕方あるまい……お主の記憶は蘇ったが、魔力が足らんからな。その代わりに一流の剣技を得たのだからな。で、ヒュドラはどうなった?」


「……それが、信じがたいのですが……」


「何だと!?転移魔法?再生魔法?それを行使できる、高い魔力……!ククク……ハーハッハ!!そうか……弟よ!生まれ変わりおったか!そして、我の邪魔をするか!いいだろう!我はここで待つ!いつでもかかってくるがいい!」









 目を覚ますと、魔力がさらに増えていることに気づいた。


 一体、どこまで増えるんだ……?


 そして、あの夢の意味は……?


 そもそも、何故あのような夢を見る?


 俺の前世と関係があるのか?


「団長、おはようございます。よく、眠れましたかー?」


「ああ、おはよう。そうだな、変な夢は見たがな……」


「またですかー?また、覚えていないんですかー?」


「それが、今回はなんとなく覚えているんだよ……だんだんと鮮明になってきた気がするな」


「……本当ですか?ちなみに、どんな夢を……?」


「こう玉座の間みたいなところで、シャロンと黒いフードを被った男が話しているんだよ。内容は……あー!さっきまで覚えていたのに……!」


「あー……そういうことありますよねー。まあ、気にせずいきましょー!」


 その後、食事を済ませたところで、伝令がきた。


 至急、王城に来てくれと。


 俺とシノブは急いで準備をし、王城へ向かった。


「ユウマ、来てくれたか。朝からすまぬな」


「いえ、平気です。どうかしましたか?」


「……今朝のことだ。グラント王から、セントアレイが滅んだという知らせがきた」


「え!?……エデンが滅ぼしたのですか?」


 昨日戦っていたよな……そういえば、その後のことは知らないな。

 こっちも、それどころではなかったし。


「いや、トライデントが滅ぼした。エデンに攻め込んでいる隙を突き、新国王が騎馬隊で制圧したようだ。その名は……ゼノスという」


「……ゼノスだと?まさか……!」


「おそらく、お主の想像通りだ。ゼノス-トライデント、それが奴の名だそうだ」


「あいつ……王族だったのか……?」


「どうやら、庶子らしいがな。エデン王が直接話をして、伝えられたらしい。全員、皆殺しにしたと。そして、教皇達も殺したと。理由は、上の連中がウィンドルに操られていたからだそうだ。そしてユウマ、お主に伝言じゃ。黙っていてすまないと」


「そうですか……ちょっと頭が追いつかないですね……」


「安心せい、余もだ。こう立て続けに起こるとな……。でだ、一緒にウィンドルに攻め込もうと提案を受けたそうだ。三ヶ国同時に攻め込めば、勝機はあると」


「なるほど……悪い提案ではないですね。そんなことは、今まで出来ませんでしたから」


「ああ、余もそう思う。宰相も賛成のようだったのう。今は、その調整をしておる」


「で、俺は何をすればよろしいですか?」


「うむ、それだ。お主には、その話し合いにでてもらいたい。明日、エデンで会談を行う。余を連れて、エデンへ転移をしてくれんか?できるかのう?」


「なるほど、そういうことですか。俺なら、全員と顔見知りですしね。そうですね……正確な位置は微妙ですが、その近くなら行けそうですね」


「そういうことじゃ。護衛としても、優秀だしのう。では、それで頼む」


「畏まりました。では、明日お迎えにあがります」


「うむ、よろしく頼む。時間は、追って知らせる」





 俺は実家に戻り、報告した。


 ちなみに主要人物は、全員うちにいる。


 何故なら、そこに叔父上がいるからだ。


 そして、会談にはシノブとホムラだけを連れて行くことにした。


 後の守りは、叔父上にお任せすることになった。


「さて、なんだかよくわからないが……大変なことになってきたな」


「そうですわね。ワタクシには何がなんだか……」


「まあ、なるようにしかならないですよー」


「お前は、相変わらずだな」


「ですわね……羨ましいですわ」


「むー!2人共、馬鹿にしてませんかー?私は考えても無駄なことは、考えないだけですよー」


「……シノブの言う通りかもな。そうだな、なるようにしかならんか」


「この子は、たまにそういうこと言うのよね……ですが、その通りですわね」


「へへへー、褒めてもいいんですよ?では、3人でイチャイチャします?」


「さ、3人だなんて……ハレンチですわ!!で、でもユウマがどうしてもというなら……!」


「おい、シノブ。ホムラを煽るんじゃない。それに、いざとなったらお前のがテンパりそうだ」


「べ!別に、私は良いですよ!いつでも!」


 こうして夜は更けていった……。


 ちなみに……やってないからね?普通に川の字で寝ただけだからね?










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