第125話 暇つぶしに模様替えクラフト!
翌日、街での仕入れを終えた僕たちは港で船に荷物を全て詰め込むとすぐにオミナの街を後にした。
ドワーフの技術で作られたこの船はかなりの速度が出せるが、それでも島までは二日以上はかかってしまう。
しかしよく考えなくてもそんな距離をカヌーンは飛んできたのだ。
そりゃ魔力切れにもなる。
「見えてきたぞ」
僕たちが島にたどり着いたのは三日後の早朝だった。
朝日が水平線から顔を出すと同時に桟橋へ節減した僕らは、迎えを頼むために休憩所へ設置してある呼び出し専用の魔道具のボタンを押した。
今頃は領主館に設置した赤く光る専用の魔法灯が輝いているはずだ。
「さて、休憩しようか」
「そうだな。だがワシは先に船の点検をしてくる」
「私は積み荷の最終確認だけしてきますぞ」
慌ただしく休憩所を出て行く二人に、なんだか僕だけがサボっているような気がしてくる。
なので僕は一人残った休憩室の内装をクラフトスキルを使って豪華にすることに決めた。
「まずはソファーとかを少し豪華にしてっと……素材化からのクラフト!」
作った当時は使えれば良い程度の椅子と机だったそれをクラフトスキルで館にあるものと同じものに作り替える。
つづけて桟橋で使う道具などを入れてある棚を一回り大きく豪華なものへ変更。
中身も同じものを複数追加しておく。
「あとは壁かな」
石壁をくりぬいて作った休憩所の壁は石がそのまま丸出しである。
これはこれで良い感じではあるのだが、今作り替えた家具類とはどうも相性が悪い。
「とりあえず木で前面を埋めて……あとは表面に壁紙をクラフトしてっと」
一瞬でただの岩肌だった壁が白い綺麗なものへと置き換わった。
「最後に燭台を壁と机の上にクラフトっと。うん、完璧だ」
先ほどまでは無骨な家具と岩肌が冷たさを感じさせていた休憩室。
それがなんということでしょう。
あっという間に僕という匠の手腕によって豪華なリビングルームへ早変わり。
「船は問題無さそうだ」
「積み荷もおかしな虫や動物は紛れ込んでいませんでしたから安心して運び込めますぞ」
僕が満足して部屋を眺めているとキエダたちが帰ってきた。
そして様変わりした室内を見て目を見開く。
「な、なんじゃこりゃあ」
「これはまた」
その反応に僕は満足すると「お疲れ様。迎えもそろそろ来るだろうしゆっくり休んでよ」と苦笑を浮かべる二人に向かって笑いかけたのだった。
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