第153話 聖銀竜の力
『ナビちゃん、やっぱりここんとこあなた変だよ』
『どうしたの?急に』
『だってさ、前は呼ばなきゃ出てこなかったのに最近はずっといるでしょ』
『それはミーアと一緒にいると楽しいから』
『それにとても積極的よね、私に関して』
『ほら、カルセア島みたいに新しいところだと何があるか分からないから』
『古代遺跡なんかの時は特にね。道案内して、古代魔法をくれて、遺跡の管理者にしてくれて』
『あれはミーアじゃない人が遺跡を荒らさないようにするためよ』
『ホントは何か隠してるんじゃないの』
『そんなことないって』
最近のナビちゃんの変化には少し戸惑っている私がいることは確かです。独り言にも反応するし。
龍神様に会った後ぐらいからだから、やっぱり大神様がらみなのかなぁ。聞いてもホントのことなんて言わないだろうし。
「会議に先立って、サウ・スファルより払い下げられたカルセア島についてだが、ミルランディア領にすることとする。何か意見のあるものは」
「僭越ながら、ミルランディア領は過日沖合の島も領地に編入しました。その上カルセア島までとなるとバランスが崩れるのではないでしょうか」
「沖合の島までは船で10日程度、カルセア島までも4~5日はかかるのだぞ。海には魔物もいるし。その中で島の管理ができるのか」
「ミルランディア様より船をお借りすれば」
「結局ミルランディアに頼るのではないか。ミルランディア、貸せるのか」
「貸せないことはないですけど、お金かかりますよ。ウチはポルティアって言う港町があるけど、船を止めておくための港代だってバカにならないし、1隻での運用と言う訳にはいきませんよね。貨物船、客船の他に護衛の軍艦も必要になるし。船を運航するとなると100人単位で船乗りが必要ですよ。運航のために使う魔石に船の借り賃などを合わせると細かいことは帰って相談しないと分かりませんがかなりの額になると思います。うちの場合は全部領軍兵士がやるので問題ありませんけど、他領のために領軍兵士は出せませんよ。相談に乗ってもいいですけど、多分領の財政傾くんじゃないでしょうか。しかもそのお金、全部ミルランディア領のものになるんですよ」
「だがミルランディア領ではできているじゃありませんか」
「だから人員は全て領軍兵士ですし、うちの4大工房、バイク、クルマ、造船、魔道具とその関連の工房は全て領が経営しています。農業もそうですけど領が責任を持って経営してるから出来ることなんですよ。領民から税を集めることだけが領政じゃないんです。うちの農場や工房で働いている人たちは給金制です。給金を払っているのは領政府です。だから両政府は賢明に仕事をしなきゃならないんです。恐らくどの領政府より仕事をしてるんじゃないでしょうか。うちが出来ているのはそういう努力をしているからです。うまい汁をお金で買おうとするとかえって高くつくと思いますけど」
「ミルランディア領の食料には流行り病の時に助けてもらったこともある。あれが無かったらヘンネルベリはどうなっていたか分からない。その恩賞もまだなのだが」
「それはミルランディア様が女王としてなさったことで……」
「なら貴様は公職についている間の恩賞は返上するというのだな」
「いえ、それは…。ただ大臣と国王では立場が違うのではないかと」
「国王ではない。国王代行だ。私が国王としての務めが出来なかったので、その代わりをしてもらっただけだ。それに食料の提供、薬の作成、治療は国王の仕事ではない」
「………」
「で、どうなのだ。私はカルセア島をミルランディアに任せようと思うのだが」
「よろしいのではないでしょうか」
「なら決まりだな。ミルランディア、成果を期待しているぞ」
その後カルセア島の調査結果が公表されましたが、遺跡のことは触れられていませんでした。
「あの島をどう使うつもりだ」
「ドックのある港は領海軍の基地にしようかと思います。他の港を使って主に漁業基地として使おうかと。あとは南国の島ですから気候にあった作物の栽培と暖かい気候を生かしたリゾートもいいかなって」
「ミーアに任せておけば問題ないな。リゾート開発をするのなら教えてくれ。俺も欲しいからな」
「陛下にリゾートでゆっくりしている時間なんてないんじゃないですか」
「キッシュに譲った後の話さ。あいつはまだまだだけど、ミーアのところでの経験は生きているな。あれが無かったらどうなったことやら」
「ポルティアでもフロンティーネでも頑張ってましたからねぇ」
「ミルランディアか」
「龍王様、どうしたのですか?」
「そこにエルフィはいるか」
「エルフィは今竜の里に帰っていますけど」
「なら丁度いい。ミルランディア、竜の里へ来てはくれまいか」
「構いませんけど」
「では待っている」
珍しい事です。って言うか神様の言葉だからご神託?御呼ばれしたので竜の里に行きました。
「長老様、ミーアです」
「待っていたぞ。エルフィの100歳の誕生祭はまだ続いているからゆっくり楽しんでいくとよい」
「龍神様は?」
「いないが、来られるのか?」
「ええ、約束してますので。すみませんが呼んでもらえませんか」
「私が?龍神様を?」
「ええ」
「そこはミルランディア殿が呼んだ方がいい」
「そうですかねぇ。それでは」
「龍神様、竜の里に着きましたけど」
「召喚の魔法は使えるか。使えるのなら陣を描いて術を発動させてみてくれ」
「分かりました」
私ってばできちゃうのよね。ナビちゃんも手伝ってくっるし。
「りゅ、龍神様。ご機嫌麗しゅう…」
「構わない。エルフィの100歳の誕生祭と聞いてな。その祝いだ」
「ありがとうございます。只今エルフィを呼んでまいりますので」
「龍神様こんにちわ。ミーアも来てくれたんだ。ありがとうね」
「聖銀竜の誕生祭だからな。聖銀竜は神の一柱になりうる逸材、エルフィも神へと神化するやも知れぬ。私も神の一柱として見守っているぞ」
「神様とか言われてもピンとこないんですけど、期待に沿えるように頑張りますね」
「ところでエルフィとミルランディアの3人で話をしたいのだが」
「それなら山の向こうの丘に行きましょう。お姉様方がいると思いますけど、お話をすれば外してくれると思いますから」
「ほう、エルフィは空間魔法が使えるのか」
ゲートを開くエルフィを見て龍神様は感心していました。普通に考えたらドラゴンが移動するとなれば飛んでいくことをイメージしますからね。
「空間魔法だけじゃなくって、水、火、土、風、氷、雷の魔法なんかも使えます。ミーアが使っているのを見て覚えたんです」
「そうなのか。ところで話なのだが、エルフィ、其方がミルランディアに与えた血についてどのように理解をしている」
「あの時は一刻の猶予もなかったから必死だったもので。私の血というか白竜の血には病や傷を癒す力と寿命を延ばす力があると聞いています。2000年ぐらい生きられるようになると聞いていますけど」
「それは竜の血の伝承か」
「そうです。『竜の血は癒しの力がある。白き竜は長い時間を与える』と聞いていますが違いますか」
「違わないが、続きがあることを知っているか」
「続きがあるんですか?知りませんでした」
「『輝く竜は永遠の時間を授ける』という詩が続くのだ」
「これは……もしかして……」
「この詩はな龍族は他のもの、主にニンゲンだが、そういったものから狙われるので気を付けるようにとのものなのだ。
竜の爪や牙は大きな力を与えるし体を覆う鱗は強い守りを与える。我らを食そうとするニンゲンにとって竜の肉は非常に美味なのだそうだ。さらに血にも力が宿っている。癒しの力がな。
白き竜と言うのはどういうことか分かるか」
「幼い竜と言う事でしょうか」
「そうだ。幼い竜は力もまだ弱い。里に居る竜が襲われることはまずないが、ハグレは別だ。人は竜と違い命が短い。その人が長い命を求めるとすれば」
「幼い竜を襲う」
「左様。ニンゲンにとって我ら竜はその身体も宝物なのだ」
「でもミーアは……」
「この娘は特別だ。心配しなくてもよい。気が付いているとは思うが『輝く竜』と言うのは」
「聖銀竜……私のこと……」
「そう。聖銀竜、そして虹竜を指す。とても少なく10000年に1人生まれるかどうかと言われている。そして神へと昇ることが出来るものなのだ。
もちろんその血には他のものとは比べようがないほどの力を有している」
「じゃぁミーアはどうなっちゃうの。永遠の時間って……」
「不老不死という訳ではない。与えたものと同じ時間と言われている。つまりはミルランディアの寿命はエルフィと同じと言うことだ」
「つまり私はエルフィとずっと一緒って事?」
「そういう事になる。老いることもないし病に倒れることもないであろう。ただし事故で死ぬことはあるし、自死で絶つこともできはする」
「ミーア、ごめんなさい。私……とんでもないことを……」
「エルフィよ、お前がこのことを知っていたとしたら、あの場でどうした」
「それでも助けたと思います」
「それがエルフィ、お前の心だ」
「私もエルフィに怒ったり、エルフィの事恨んだりなんてしないよ。ところで聖銀竜の寿命ってどれぐらいなんですか?」
「普通の竜の寿命は10000~15000年、輝く竜、輝竜は20000~30000年、神化した龍は100000年以上と言われる」
「正直戸惑っています。いきなり『貴女は20000年生きられます』って言われたって何をしたらいいかわからないし。
人の寿命は80年ぐらい。だから一生懸命生きるし、永遠の命を求めるのだと思います。
でもそれを手にした私は使い方が分からない。誰も経験したことがない事ですから」
「ミルランディアには辛い時間も多くなると思う。この世界の国で10000年続いたところはない。この先もないとは言い切れぬかもしれぬが、ミルランディアの国とて違わないであろう。
私はミルランディアを守ると大神様と約束をした。ミルランディアも何かあったら私のところに来なさい。エルフィ、お前も力になってくれるな」
「もちろん、ミーアの為なら。でもミーアの所に行くのはよくないのかな」
「それは大丈夫であろう。エルフィも自分のことを理解できただろうし、それにミルランディアがいてエルフィが傷つくことがあると思うか?」
「ないですね」
「と言うことだ。ミルランディア、今日からお前は私の家族だ。私の娘だ。分かったな」
「龍神様、私は?」
「もちろんエルフィもだ」
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