第108話 ミーアとナビちゃん(ミーア化け物化計画進行中)

ここんとこ忙しかったから、久しぶりにゆっくりしています。いや、ホントだよ。

だってさぁ、フロンティーネを動かしだして、バイク工房と領軍を整備したでしょ。そしたらディートが死んだって知らせを聞いて、カルシュクに行ってみたら魔薬で大騒ぎ。ポルティア作ってフィルとキッシュに手伝ってもらうことにした。フィルとキッシュって殿下ね。記念式典に出席しようとしたら、火事に巻き込まれて死にそうになるし。その件で寿命が偉く伸びちゃったんだけど。そして護衛の船作って……。


こんなのさ、普通だったら何年もかけてやることだよ。それを……、詰め込み過ぎだね。寿命が伸びたんだからもっとゆっくりやればいいのにね。って伸びたのは私だけか。


で、今何をやってるかって言うと、久しぶりに冒険者モードです。私は金色の月光以外ではソロですから、金色の月光が解散してしまった今はもちろんソロ。まぁ、ジャスティンやエレン、マリアンナ、サフィア達に言わせれば、私はいつもソロなんだって。王族の癖に護衛も付けずにヒョイヒョイとすぐにどこかに行ってしまうとこがだって。失礼しちゃうわよね。私だって必要に応じてお人形さんたち親衛隊・フェアリー隊を呼ぶわよ。


脱線、脱線。何をしてるのかと言うと公爵領、めんどくさいからミルランディア領ミーア領って呼ぶけど、そこってフロンティーネとポルティアを除くとほとんどが森と山なの。そこに住んでるのは魔物たち。つまりミーア領は魔物天国でもあるって訳。

そんな魔物天国に住む魔物たちってどんなのがいるか知らないのよ。だからちょっと調査に来たって訳。ついでに新作魔法なんかもナビちゃんに聞いちゃおうかなって。


前に冒険していた時には見なかった魔物がいっぱいいます。山を越えたから魔物の種類も違うんでしょうね。

でも困ったことに見たこともない魔物のことは知るはずがありません。そこで困った時のナビちゃんです。


「ナビちゃん、ナビちゃ~ん」

「ハイハ~イ、ミーアじゃん。どうしたの?」

「相変わらず軽いね。そうそう、見たことない魔物がいっぱいいるんだけど、それが何だかわかる方法って……、あるよね」

「モッチロ~ン!そんなのない訳がないじゃん。何と言っても世界樹の記憶。この世界のことで知らないことはありませんから。魔物を調べたいのよね」

「うん。出来れば強さや特殊な攻撃とか、そういうのがあったら一緒に知りたいの。急に襲われて眠らされるとかやじゃん」

「そんなあなたに【鑑定】のスキルをプレゼントしま~す」

「そんな簡単でいいの?」

「いいの、いいの。だって世界樹の記憶に触れられる人ってみんな持ってるし。それにミーアは今の私のオキニだからなんでもOKよ」

「あ、ありがとうね。それなら他にいくつかいいかな」

「どうぞ、どうぞ。いくつかなんて言わないで、何でも言ってね」

「うん。えぇとね、私に【マルチマップ】っていうスキルがあるのは知ってるよね。あれで転移が出来ないかなって」

「出来ないの?」

「今は無理やりやってるの。亜空間を展開して、現実空間から切り離してから移動先で再展開する。でもさ、これってなんかスマートじゃないんだよね」

「そうね。って言うか、よくそんな方法考えたわね。そっちの方が感心するわよ」

「褒めてる?」

「全然」

「やっぱり」

「やりたいことはミーアがマップを使ってポンッと移動できるのと、マップの先にワープの門が開ければいいのかな」

「そうなんだけど、出来るの?」

「出来る……わよ。マルチマップをちょっと弄るね」

「マルチマップを弄るんだ」

「うん。今はスキルの情報は飛ばせるみたいだから、そこに実体も飛ばせるようにするの。まぁマルチマップで何でもできるようにしておけばいいか」

「なんでもって?」

「視覚を送らなくても大体のことは分かるとか、マルチマップ経由で魔法を撃つとか」

「それってここにいたままマップで目標を定めてファイヤーボールが撃てるって事?」

「そうそう。便利でしょ。戦争になっても安全なところからバンバン魔法が撃てるよ」

便利かどうかは分からないけど。あっ、でもヒールとかは便利そうね。マップ経由でエリアヒールとか」

「うん、うん。じゃぁチョット改良するからね。……………はい、できた」

「そんなもんなんですか」

「そんなもんです。一人や数人の時はジャンプね。マップ経由の方は魔力を多く使うけど、ミーアなら関係ないでしょ。ワープもマップを指定してゲートを開けばいいから」

「どうも有難う。のどに引っかかってた骨が取れたみたいでスッキリしたよ。あと、亜空間に家を作りたいんだけど」

「ディメンジョンホームってやつ?」

「そう、それ」

「それじゃぁやってみましょうか。まず亜空間に家を建てる空間をイメージします」

「って、出来るの?」

「だってそんなの空間魔法にあるじゃん。使ってなかっただけでしょ」

「そんなのあるなんて知らなかったって」

「その名の通り『ディメンジョンホーム』って言う魔法よ。唱えてみて。造るときは『クリエイト』、消すときは『デリート』、出すときは『オープン』、仕舞うときは『クローズ』ね」

「えぇと、広さはこれぐらいだね。『クリエイト・ディメンジョンホーム』。あっ、なんか開いた」

「その空間がミーアのディメンジョンホームよ。もっと広くしたいときは1回消してから作り直しね。その時は中に作ったのもなくなっちゃうから気を付けてね。その中でビルドホームってやれば家も作れるから。造ろうと思えば畑だろうが家畜小屋だろうが生け簀だろうがなんだって作れるから」

「生け簀?」

「知らない?魚を飼うための水槽みたいなやつよ」

「そんなのまで作れるんだ」

「錬金工房だって作れるし、鍛冶の工房だって作れるわよ。そしてその中は時間が止まらないから当然生き物も生きてられる。亜空間だから音が漏れることもない」

「ねぇ、ディメンジョンホームって1つだけ?」

「特に制限はなかったと思うけど、1つで足りるんじゃない。2つとか使うの?」

「うん。1つは家として使うやつ。もう一つは魔法の練習用にって思って」

「魔法の練習用?そうかミーアの場合威力も大きいし、種類も多いんだよね」

「そうなの。他で使うと迷惑になったり目立ったりするでしょ。だからそのための」

「イメージの問題だからできると思うわよ。家のディメンジョンホームと練習場のディメンジョンホームのイメージを分ければできるはず」

「わかった。後でやってみるね」

「それから、ディメンジョンホームは外からでも中からでも開けたり閉めたりできるからね。中から開けるときは外で開けたところに開くから気を付けて」

「了解しました、ナビちゃん様」


「他にはもうないの」

「じゃぁ最後に一つ。魔石に直接魔法って組み込めないかな」

「どういう事?」

「魔石にヒールの呪文を組み込んでおいて、それを埋め込んだ杖を作ったとするじゃない。それを振るうとヒールの呪文が掛けられるような。そんな感じ」

「それなんか意味あるのかなぁ」

「意味あるよ。だってヒールの呪文が使えない人でも使えるようになるんだから」

「そういう事ね。ミーアが使うと思ったから」

「私じゃないって。思ったのがね、飛行の呪文を組み込んだ魔石を馬車や馬具に取り付けて、空飛ぶ馬車なんてできないかなって」

「面白いこと考えるわね。えぇとそれは……、ドワーフの加工でやってたはずよ。呪文って言っても今の詠唱の呪文じゃなくって魔法陣を組み込むのよ」

「魔法陣?」

「昔は魔法陣を描いてそこに魔力を流して魔法を使ってたの。今の呪文の詠唱で魔法を使うようになったのはずっと最近のことよ」

「でも魔法陣なんて知らない………、ことはないか。ここで調べればいいだけなんだね」

「分かってきたじゃん」

「いろいろ遊べそう。ありがとう」

「どういたしまして。また呼んでね」

「そうそう、私寿命伸びたから。2000年ぐらい生きられるって」

「えっ、なにそれ。人間の寿命ってそんなに延びたの?」

「ううん、私だけ。いろいろあってね」

「まぁいいわ。これからもよろしくね」


**********(side ???)


「よろしいでしょうか。お耳に入れておきたいことが」

「何だ」

「アズラートがミルランディアの周りを嗅ぎまわってるようです」

「アズラート?あぁ、あの負け犬帝国か。それがなぜ」

「どうやらミルランディアが船を造ったようなのですが、それ関連かと」

「確かに気になると言えば気になるな。接触できるか」

「問題ありません。準備いたします、殿下」


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