第59話 絶対防御 with 亜空間
さて最後の一つ【自動防御】ですけど、実はもう目途は立ってます。何かあった時にカウンターで対応しようとしてたからできなかっただけで、常に守っておけばカウンターの必要がありません。
その方法とはズバリ【亜空間】。そうです、また亜空間の登場です。
そう言えば亜空間は登場回数が多いですね。
圧倒的一番は常に裏方で数多くが仕事をしている【超多重処理】で間違いないでしょう。
次は【空間魔法】系かな。【マジックバック】でも使ってるし【ワープ】や【空間転送(改)】でもバンバン使いまくるからね。亜空間、便利だからねぇ。
【マルチセンス】、【マルチマップ】あたりが続きそう。何気に【錬金術】と【創造術】のセットや【ドールマスター】も活躍してるんだよね。外に出ると【探索】系も使うけど最近あまり出ないしなぁ。
逆に活躍の場が与えられてないのが【料理】、【精密射撃】、【水魔法】、そして【毒使い】系。【創薬】は『ミル薬局』に卸すのに使うけど、他の使い道は余りないなぁ。まさかお屋敷の食事に毒が混ざってることなんてないし。盗賊相手の【パラライズ・ミスト】ぐらいだね。とにかく外に出ないっていうか狩りにいけなくなっちゃったから、あんなに頑張った戦闘系のスキルが燻っちゃってるよ。
その亜空間を遣えば多分できる。っていうかほぼ間違いなくできると思う。亜空間ってさ、中にいるものは外に出られないし、逆に外のものは生に入れない。私は別よ、私の作った亜空間だから私は出入り自由なんだから。これきっと物理的なものもそうだし、魔法的なものもそうだと思う。
「サフィア、チョット手伝って」
「また何か始めるんですか、ミーア様」
「また何かって。でもそんなとこね。ちょっと待っててね。ジャスティンに言ってくるから」
ジャスティンにはちゃんと言っておかないと、後でお小言貰いそうですからね。こっちの方が偉いっていうのに。
「私は何をすればいいんですか?」
「ちょっと待ってね、今ゴブリンを探してるから」
「ゴブリン狩りですか」
「ちょっと違うわ。いいから待ってて」
こんな時に限ってゴブリンはいません。別の所に移動しようかと思った時、探索に反応がりました。オーガです。
「ゴブリンじゃないけどいいわ。あれでやりましょ」
オーガをできるだけ人のいない草原に空間転送します。邪魔が入ると困るからね。
「さぁ始めるわよ。私がいいって言ったら強力な魔法をバンバン撃って頂戴。いろんな属性の魔法を撃ってくれると助かるわ。それじゃいい、始めてっ!」
オーガの周りに亜空間を展開してあります。光らせてないやつね。亜空間の外側で魔法がどんどん炸裂していきます。炎、水、風、土、雷、氷。全て亜空間を超えることができません。
「いいわ、止めて」
あれだけ魔法を売ったのにオーガはぴんぴんしています。文字通り傷一つ負ってません。私たちを見つけて襲い掛かろうとするのですが、亜空間の壁が邪魔をしています。
「ミーア様どうなってるのですか」
「あれね、亜空間を展開してあるの。クラーケンの時と一緒ね。オーガがいるのは現実空間だけど囲ってる亜空間が護ってるってとこかな」
「亜空間って魔法効かないんですね」
「魔法だけじゃないよ。多分剣の攻撃も弾かれる。サフィアが突っ込んでもはじき返されるよ。丁度あのオーガが中から外に出られないようにね」
「完璧じゃないですか。魔法もダメ剣もダメなら攻撃に対して絶対防御です」
「うん。それを狙ったから。じゃぁチョット面白いことやってみようか」
今度は私たちの周りを亜空間で囲って、オーガの周りの亜空間を消します。怒り狂ったオーガが私たちに襲い掛かりますが、亜空間の壁はそれを通しません。
「きゃーっ!助けてっ!」
「大丈夫だって。オーガの攻撃は絶対当たらないから。それより間違って魔法撃たないでね。サフィアの魔法は中で爆ぜるからね」
さんざん叩いても叩けないこの状況にオーガの奴だんだん怒りがたまってきています。
「ミーア様どうするんですか。私たち安全ですけど逃げられませんよ」
「大丈夫よ。私の攻撃は亜空間を通すから。見ててね。ウォーター・カッター!」
シュバッ!オーガの腕が切り飛ばされます。
「続けていくよ!」
残った片腕が飛び、胴体が切り刻まれます。最後に頭が飛んだ時、オーガの命はもうありませんでした。
「ねっ、大丈夫だったでしょ」
「怖かったですぅ。後で慰めてくださいね。夜眠れなくなりそうなんで」
ヤバいことになるかもしれません。あの3人の中で一番ヤバいのがサフィアなのだから。そのサフィアと一晩過ごすこととなると……私が堕ちるの決まりみたいですね。諦めます。好きにしてください。私はまな板の上の鯉ですから。
でもこれで完全防御ができました。出来たっていうか亜空間展開しただけですけど。
「これでニールの別荘、大丈夫だね。変な人が中に入ってくることなんて絶対なくなるよ」
「今はどうしてるんですか」
「衛兵人形2体で守らせてる。今はそれで十分だからね。これからも十分なんだろうけど」
私は自分の周りを亜空間で薄ーく、肌にぴったりと纏わせます。
「こんなこともできるんだよ。サフィア、私のこと触ってごらん」
私のことをペタペタと触ってきます。手や頬、こらこらおっぱいをもむんじゃないって。足に頬ずりしないの。
「普通ですね」
「それじゃ私に魔法を撃ってみて」
「そんなことしたら怪我しちゃいますよ」
「大丈夫なの。さっきと同じように私は亜空間の中にいるから」
「じゃぁ行きますよ。ホントにどうなっても知りませんからね。ファイヤー・ボール!」
サフィアのファイヤー・ボールの威力、半端じゃなかったです。亜空間に守られてたから何ともなかったけど、そうでなかったら大怪我ならラッキーって感じです。
「ねっ、大丈夫でしょ」
「はい。でも私とっても幸せです。ミーア様のそのようなお姿を見ることができて」
えっ?何のこと?傷なんて負ってないけど……って
「キャーーーーーーーーーーッ!」
サフィアに背中向けてしゃがみこんじゃいましたよ。私に怪我はなかったんだけど、サフィアのファイヤー・ボールで服が全部燃えちゃって。つまりは………そういう事です。ハ・ズ・カ・シ・イ
「サフィア、帰るよ。早くして」
目の前にあるゲートの先は私の部屋です。私が転がり込むとすぐにサフィアも戻ってきました。
「うぇーん、もうお嫁にいけない」
ミーアさん、あなた最初っからお嫁になんて行かないですから。婿を取るって何度言ったら分かるんですか。
「ミーア様お風呂へ行きましょう。そこでゆっくりされるのが一番です」
サフィアに促されるようにガウンを羽織り、1階の露天のお風呂に行きます。サフィアは近くにいたメイドに一言二言言うとなぜか一緒に入ってきます。
「ミーア様。あまり調子に乗らない方がいいですよ。あそこはたまたま誰もいなかったからばっちり見たのは私だけでしたけど、そのうちどっかで大きなポカやらかしかねませんから」
「分かってるわよ。今日のことは反省します。もうしません。ってサフィア、何やってるの」
サフィアは私の後ろからギュッと抱き付いています。私の背中に柔らかい感触が伝わります。それだけならいいんですけどね、サフィアの両手が私の2つの山、違うな、2つの丘の上に置かれているんです。
「ミーア様を慰めて差し上げようと思いまして」
「いいから離れなさい」
その後は今日の実験をもう一度まとめて上がりました。実験をまとめたってファイヤー・ボールで服を焼き払ったことじゃないからね。
あの実験の夜、私は目くるめく桃色の世界へとうとう誘われてしまいましたよ。サフィアとエレンとマリアンナの手によってね。
あぁ私、どこへ行ってしまうの。
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「ミルランディア特別補佐、あなたに国王代理としてアズラート帝国の皇帝と面会をしてきてほしい。詳細については後ほど説明する。出発は2週間ぐらい先で頼む。準備をしておいてくれ」
突然のお仕事です。行き先は王国に侵攻しようとしている帝国。そんなところに小娘が行って大丈夫なのでしょうか。
**********
次回、大きく展開が動く予感です。そんなの誰が見たってわかるって。そうなんですけどやっぱ言ってみたいじゃん。
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