第50話 難関!空間転送(改)
取り調べはもう少しかかりそうです。まだ拘束できていない人もいますからねぇ。
そう言えば2人程、自ら出頭してきたそうです。逃げられないと思ったのか、罪の意識があったのか。
保護施設につては私の考えがほぼそのままの形で決まったそうです。最近会議に出てないからねぇ。
大きさは700人規模の自治権のある街にするそうです。領主は置かずに国から代官が派遣されるそうです。もちろん代官は女性ですよ。
700人規模ともなるとかなりの大きさです。しかも普通の町ではなく保護施設です。そこだけで全ての事が出来なければなりません。なので街はかなり広くなります。私の家の10倍ぐらいになるのかなぁ。その町の周りを高さ10mぐらいの壁でぐるりと囲みます。壁が見えないように木で隠すそうです。中にいる人が安心して暮らせるようにとのことです。
街の人が住む市街地には役所をはじめ多くの店を用意するそうです。商売をしたい人ができやすくするためだそうです。他にいろいろな工房も作るそうです。市街地の周りには畑も作るそうです。草原や森、全部まとめて施設だそうです。
基本的に女性だけです、街の衛兵も。大工仕事などどうしても男手が必要な場合にはその都度外から手伝いを入れるそうです。
女性だけの街って聞くと、私はチョット危険な感じがします。近くにエレンとかサフィアとかいるからねぇ。ああいうのがそこかしこで生まれるかと思うと………
壁の外側は普通に警備です。中に不審者を入れないだけですから。物の出入りは頻繁に行われそうです。基本的な食料は配給されますが、贅沢品は買うことになります。工房で作るものの材料も外から狩ってきます。工房で仕立てて外で売る。これがこの街の基本スタイルなんでしょうね。
幾つかの候補地が挙がっているそうですが、一番有力なのはミシャルという街の近くだそうです。ミシャルはサミリアのようなリゾート地の一つです。サミリアには貴族が多いのですが、ミシャルを訪れるのは平民が多いそうです。今度見に行ってみようっと。
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今日も私は、某所で秘密裏に実行されている【ミーア化物化計画】に乗せられて、いろいろな能力開発に勤しんでいます。
何?いもしない誰かに責任を押し付けるなだって。私が率先してやってることじゃないかだって。そんなことは分かってるんです。言ってみたかっただけですから。
計画にはいろいろなことが挙がっています。外からの攻撃や侵入から守る自動防御、
で、今は何をしてるかっていうと【空間転送】の魔法と【マルチマップ】の融合です。これができればかなり便利になると思うの。いきなり空間転送じゃなくって初めはジャンプからだけどね。
結果からすると、ジャンプとマルチマップの融合はできませんでした。何か仕組みが違うんだよね、いろいろ試しているんだけど。マップとの相性悪いのかなぁ。
ジャンプで動くのは私。行けるところは見えてるとこと。見えないとこには行けないね、怖くって。恐怖があるからできない?それはなさそうだなぁ。生身だから。可能性はあるな。でもそうなると空間転送でものは運べないよね。
ワープの仕組みはなんとなく分かってる。今いる場所とマークした場所をトンネルでつなぐイメージ。トンネルの長さが0だからすぐに移動できるって感じね。ジャンプは空間を捻じ曲げて、グッと寄せてポンッと移るイメージ。そうか、だから移動先がマップの上だとダメなんだ。その空間を寄せることができないからか。
空間転送はというと、その場所を別の所にポンッと持ってくイメージ。んー、何か違う。ジャンプに似てるんだよなぁ。移動先をこうグッと持ってきてそっちに乗せた後、前をパチンと切る。そんな感じ。これじゃぁジャンプと一緒じゃん。マップは使えないってこと?
これは困った。マップが使えるジャンプはぜひとも欲しいところだからね。
空間魔法のカギって亜空間だと思うのよね。でも亜空間って一体何なんだろう。うーん、頭がウニる。
収納で使ってる亜空間は、この世界なんだけどこの世界じゃないなんか変なところに、広い空間が広げてある。大きくすることもできるし小さくすることもできる。それこそ自由自在に。そんなのがいくつも作れる。現実のこの世界じゃないから時間も止められる。
『亜空断裂』の時はその亜空間を現実空間と重ねたんだよね。そしてその亜空間を切ったり時間を止めたりした。現実世界と重ねた時は亜空間の影響もうけるみたい。時間を止めたら亜空間の制約で死んじゃったしね。亜空間を動かすと現実空間にいた魔物も動いた。
現実空間に亜空間を重ねて、現実空間にあるものを亜空間に移せるのかなぁ。どうやって確かめようか。亜空間を動かしてみる。一緒に動いたら亜空間、動かなかったら現実空間。よしっ、一度やってみよう。
現実空間と亜空間を重ねるのはニールでやったからすぐできた。「移れっ!」ってやったって移る訳ないよね。現実空間に亜空間を重ねた。亜空間に現実空間が重なるイメージをすればいいのか。空間の干渉の度合いを強くするって事だね。空間同士が重なって干渉するってヤバくない?
亜空間を固定する魔力を強くしたら現実空間より強く干渉してない。空間に与える魔力の大きさが干渉する度合いの大きさって事か。じゃぁもうちょっと魔力を強くすれば………。これは亜空間内に存在してるね。じゃぁチョット動かしてみるね。
動きましたよ。石っころですけどね。現実空間から切り離してやれば完全亜空間行きか。亜空間に物を置くことはできるんだからそれは平気だよね。亜空間とマップ上の地点を繋ぐことはできるから、マップ上の地点に重ねれば動くかな。よし、仕組みはできた。
ただ一つ問題があるね。異空間に生き物行けるのかな。試してみればいいのか。ゴブリンでもいないかな。
もちろんゴブリンが王都にいる訳がありません。なので王都から抜け出し森に行きました。ゴブリンがいました。今日は大漁ですね、10匹ほどの群れです。昔は3匹でもびくついていたのにね。変われば変わるもんです。
手順はこうです。まずゴブリンのいるところに亜空間を重ねます。そしたら一気に魔力を高めて亜空間に引きずり込む。引きずり込んだら現実空間から切り離す。その時点で消えるはずです。もう一度現実空間に重ねて亜空間を解除する。これでゴブリンが活きていたら成功です。さて、どうなる事やら。
亜空間を展開します。ゴブリンに変わった動きはみられません。
亜区間に魔力を注いでゴブリンを引きずり込みます。あれっ、まだゴブリンに動きはないですね。
それではメインディッシュです。亜空間を切り離します。予定通りゴブリンが消えました。生きてるといいのですが。
少し場所をずらしてゴブリンを取り込んだ亜空間を固定しなおします。現れましたね。おっ、生きてます、生きてます。実験は大成功です。きょろきょろしています。そうですよね、いきなり風景が変わるんですから。そりゃ焦りますって。
じゃぁもう一度。今度はマップ上の地点を指定してみます。どこがいいかなっと。そうだ、元薔薇のアジトの前にしましょう。あそこなら問題ないはずです。マルチさんを送っておけば見えますからね。
実験の結果ですか?決まってるじゃないですか。私がやってるんですよ。私がやってる以上、この言葉しかありません。成功です。ジャンプの時はダメだったじゃないかって。そもそもジャンプとマップは融合できないものなんですから、できなかったという正しい結果が得られたということは、つまりは成功ということなのです。出来ると成功は違うのだよ、キミ。
もうチョットはっきりしないかなぁ。転送元の範囲もよくわからないし、転送先もそう。どれが転送対象となってるかも分かりにくい。なにかこう、目で見て分かるようになればいいんだけど。
【創造術】さんってこんなとこにも影響で来たんですね。なんかこんな感じ、こんな感じって色々やってたら、変化がありました。転送元は展開した亜空間を光らせるだけだからまぁ簡単。対象も亜空間にあるものを光るようにできたので解決です。転送先も光ってる亜空間が展開されるので問題なし。なんだ、できるじゃん。
私のオリジナル魔法【空間転送(改)】だね。そもそもこの魔法が使える人って、他にどれぐらいいるんだろう。
次は人で試してみたいなぁ。どこかに丁度いい実験体はいないでしょうか。間違って殺しちゃっても問題のない人ですよ。
もしそんな人がいるとすればそれは盗賊しかありません。って、盗賊でいいじゃないですか。薔薇の園が壊滅した後、他の盗賊団の動きが活発になってるとのことで、どこか探せばいるかもしれませんね。
この理論を確立してしまうまでは一気に行きたいところです。フラフラしてたって盗賊は見つかりませんし、見つけてもくれません。とにかくいるところに行かなければ。
近くの村に移動します。空間転送じゃないですよ。まだ実験の最中です。ちゃんとワープで行きました。盗賊の探索です。いないもんですねぇ。平和だからでしょうか、それとも王様の政策がいいからでしょうか。盗賊がいないことはいいことなのですが、私の実験的にはダメです。次の村へ移動です。
何度目の移動だったかな、もう忘れちゃいましたよ。でもようやく盗賊を見つけました。さぁ実験の開始です。今回の送り先は王都正門前、衛兵の目の前です。衛兵さんはびっくりするでしょうけど、まぁいざというときにちゃんと動けるのかのチェックです。頑張ってくださいね。
手順はゴブリンの時と同じです。まずは転送先にマルチさんを飛ばします。転送先の安全確認は必須ですからね。
亜空間を展開して魔力を注ぐと光りだします。盗賊たちは慌ててますが、逃げ出さないようにストップの魔法をかけました。盗賊たちが光りだしたけどゴブリンで平気だったから大丈夫だよね。動けないなら亜空間を小さくしてもいいね。送り先は小さい方がいいからね。それでは一気に転送です。
盗賊さん御一行様、王都衛兵前に到着です。衛兵さん、いきなり現れた盗賊にびっくりしています。盗賊さん、腰を抜かして動くことができません。周りが騒ぎ出しました。おっと、衛兵さんが動いた。一気に間合いを詰めて槍を突き付けます。勝負ありです。
じゃぁ私も帰るとしますか。どうせなら空間転送で帰ります。ちょっと心配ではありますが、死ぬことがないということは実験済みです。私で成功すればもう大丈夫、なはずです。物は試しです。やってみましょう。どこかでやらなければいけないことですから。どうせなら王都衛兵前、大取りモノの所へ行きましょう。
「盗賊の確保、ご苦労様でした」
ちゃんと挨拶しましたよ。一生懸命お仕事した衛兵さんたちに。
ミッション・コンプリートです。【ミーア
後でおじいさまに大目玉を頂きました。大目玉より目玉焼きのほうがよかったな。
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