第39話 港町ニール(イベント編)

「ねぇエレン、昨日のアレはないわよねぇ」

「申し訳ございません、姫様」

「もうやらないって約束しなかったっけ。一体何度目よ」

「……………」

「許してあげてもいいんだけど………」

「……旗、ですか?」

「なんだ、分かってんじゃん」

「ジャスティンさん、執事長には言わないでくださいね」

「私は言わないわよ、約束する。でもサフィアはどうだろうねぇ。あの時エレンを担いで上がったのはサフィアだし、絡まれたって泣きついてきたし……」

「怖かったんですよ。ベッドで横にしてあげてたら、いきなり抱き付かれるし、キスはされるし。さらにあんなことまでしてくるんですから」

「エレンさん、これは只じゃ済みそうにないですね」

「すみませんでした。もう2度としませんから…」

「2度としないって言ったって、もう何度目よ。まったく信憑性ないんだから」

「……おっしゃる通りです。サフィア様、やはり執事長に報告されるのでしょうか」

「報告したいのは山々なのですが……」

「それはどうかお許しいただけないでしょうか」

「エレンは何で執事長に知られるのが嫌なの?」

「姫様の使用人の人事権は執事長がお持ちです。私の失態が知れたら、姫様の護衛を解かれてしまうのではないかと」

「あら、そんなことないわよ。エレンを護衛にしたのは私の指示なんだから。まぁ給金が減らされることはあるでしょうけどね。あと夕食の時のお酒と」

「それじゃあこうします。エレンさんにお酒を止めさせるのは無理だってわかりましたから、夕食の時に1杯だけ、こうして下さい」

「せめて2杯でお願いします」

エレンさん、そこなんですか?なんか小さな防衛線ですね。

「いいえ、しばらくは1杯です。せめてこの旅の間は」

ニールの街でエレンさん、またやっちゃうんですけどね。またも被害者はサフィア。無残にも最後の一線を突破され、……艶めかしい世界に落ちていきました。だからそれはマズいんだって。例の一件で男性不振になりかけてるって言ってんのに、これで女性不振にでもなったら、私ってどうなっちゃうのよ。



ニールの街はクロラントからさらに馬車で3日かかります。道は分かりやすいとのことですが、やっぱり遠いですね。新鮮なお魚が王都にない理由が分かります。王都で手に入るお魚といえば、みんな塩漬けですからね。

今日の私はとっても気分がいいのです。エレンさんに旗を降ろしていいって言わせましたからね。これで私たちは盗賊ホイホイです。

御者が女性で2頭立ての豪華な馬車が1台、護衛も付けずにぽつんと街道を行けば、それはもう盗賊たちにとって格好の獲物です。まるで襲ってくださいって言ってるようなものなのですから。だから、そう言ってるんですって。だって私たちは猛毒の餌なんですから。

「サフィアは盗賊に襲われたことってある?」

「ある訳ないじゃないですか。実家から王都への旅の時は、ウチは旗はないんですけど親衛隊と冒険者の護衛がいたので平気でした」

「じゃぁもし盗賊に襲われたら、初体験だ」

「そんな体験したくないですぅ。不安でドキドキしてるんですから」

「この馬車の中にいれば大丈夫よ。このガラスはとっても固いから、あいつらが全力で投げてくる石や矢じゃ壊せないし。この車体だって薄いけど鉄より強いし軽い金属で作られてるから」

「中は大丈夫かも知れませんが、エレンさんは?」

「大丈夫かも知れないって、大丈夫だから安心して。それにエレンさんは私の戦闘の師匠よ」

「エレンさんって姫様の戦闘の先生だったんですか」

「うん、だからエレンが私の所に来ることになった時に、ぜひ護衛にって言ったんだから。そうじゃなかったら今頃屋敷の小間使いよ。私付きのメイドにするつもりはなかったからね」

「でも逃げ切れなかったらどうするんですか?」

「逃げないわよ、迎え撃つんだから。逃げるつもりなら旗降ろさないって」


サフィアは心配と不安でドキドキしてます。私は早くイベントが起きないかとワクワクしています。


「エレン、右前方に人。数は10、いや15.全員馬に乗ってるわ。悪意は不明、って言うか、まだ向こうはこっちの事見つけてないからね。中の窓は外から見えなくするから、エレンは気を付けて。スピードは少しずつ落として」

「姫様、どうしたのですか?」

「人がいるのが分かったから、エレンに教えたの。まだ盗賊かどうかは分かんないんだけどね」

「窓がどうこう言ってたのは?」

「あぁそれね。この窓、中から外は見えるんだけど、外から中を見れないようにしたの。『女の子2人しか乗ってません』ってアピールしていいの?」

「嫌です、絶対いや」

「盗賊と決まったわけじゃないし。冒険者の集団かも知れないでしょ。悪意があるかどうかも分かんないんだから」

「そんなことまでわかるんですか?」

「うん、サフィアは私しかできないこと、いくつか知ってるよね。これもそのうちの一つなんだ」


その集団、ぶっちゃけ盗賊団なんですけど、集団との距離が近くなった時、奴らが2手に分かれました。挟み撃ちにするんでしょうね。無駄なんですけど。

「エレン、やっぱり盗賊団だったわ。悪意ダダ漏れで2手に分かれたわ」

「どこに止めます」

「あの岩の所に、休憩っぽく止めてくれる。その前に襲ってきたら止めなきゃいけないけど」

「分かりました」

「サフィアは馬車の中から見ててね。エレンはどうする?こっちに移って震えてる?」

「冗談じゃありません。私も出ます」

「じゃぁ馬だけ守って。馬やられちゃうと旅ができなくなっちゃうからね」

「承知しました」


何でしょう、この緊張のなさ。新しい玩具を前にワクワクしているみたいです。

盗賊たちは森の中からこっちを伺ってます。って言うのが丸わかりです。予定通り街道わきの岩陰で休憩を取るふりをします。実際休憩なんですけどね。私一人が外に出て大きく伸びをします。エレンは馬に水と餌をやってます。

「お前ら、おとなしくしろ!」

「きゃぁ!!あなたたち、なんですの」(演技です。上手でしょ)

「静かにしろって言ってんだろっ!んっ?なんで護衛が出てこねぇ。まさかこいつら護衛なしか?」

「だったらなんだって言うんですか」

「ほおぅ、やっぱりな」

「お頭、どういう事っすか」

「こいつら護衛も付けずに、女だけで旅してるんだとよ。俺たちみたいな悪党がいるって言うのによ」

そうですか、こいつがお頭なのですね。締め上げるためにも生かしておかなきゃいけませんからね。自分から悪党って言ってるぐらいですから、最後は逝ってもらうんですけどね。

「あっちの女、いい女じゃないですか。やっちまうんすか。俺たちにも廻してくださいよ」

この野郎、エレンだけいい女って言いやがったな。私はどうした私は。こいつは血祭り1号に決定だな。

「馬鹿野郎、商品になるかもしれない大事な躰だぞ。傷もんになんか出来る訳ないだろ」

「じゃぁこっちの小さいのならいいすよねぇ。1人ぐらい構わないでしょ、ねぇお頭。最近、みんなご無沙汰だからよぅ」

「あぁ、そっちならいいか。だが俺が先だからな」

「ヘイヘイ、分かりましたよ」

こいつらぁ~、ぜーったい許さねぇ(怒り)。簡単には逝かせてあげないからね。鉱山送りなど絶対にない、必ず全員逝ってもらいます。恐怖と屈辱と羞恥をたーっぷりと味わった後にね。


「ねぇエレン、私、チョットかなり大分ブチ切れてるんですけど」

「あら奇遇ね。私もよ」

「やっちゃっていいかしら」

「全部はダメよ。私の分も取っといてね。3人でいいから」

「了解。何か要る?」

「私の剣、ヨロシク」

「はい、じゃぁこれね。あっちの3人頼んだわ」


「何ゴチャゴチャやってんだ。大人しく言うことを聞けって言ってんだろっ!」

「ハイハイ、悪党さんたち、もう言い残すことはないですか?」

「何言ってやがるっ!とっ捕まえろっ!」


キン、キン。

おっ、エレンさん始めたね。3人相手でも圧倒してるとこがすごいね。今度剣か槍でも教えてもらおうかな。

さてと、私は動きを10倍ぐらいにしてっと、「クイック」。

襲い掛かってくる盗賊を、木の棒で殴り倒します。女の子の戦い方じゃないね。

「こいつ、早いぞ」

「いいから囲め、動きを止めるんだ」

何?止まりたいの?なら最初に言ってよ、マヒさせてあげるからさ。ではお得意の、即効性強力マヒ毒マシマシの毒霧でも撒きますか。

「パラライズ・ミスト」

ほら、なんかこう、呪文みたいに言うとカッコいいじゃない。憧れるのよねぇ。って、中二病じゃないからね。絶対違うから。


「て、てめぇ、何しやがった」

「何って、アンタたちが動きを止めたいって言うから、私が止めてあげたんだけど。何か不満?」

「この野郎」

私は野郎ではありません。女ですからね。

「エレン、そっちはどう?」

「こいつらゴブリンより弱いよ」

「ゴ、ゴブリンより弱いだと。このアマーっ!」

そう、それが私たちに対する正しい罵り方です。こちらのおバカさんたち、ちゃんと勉強しましょうね。以上、罵り方講座でした。

「じゃぁそっちは適当に遊んであげてね」

「もう2人ぐらいほしいんだけど」

「いいけど、どうする?これからこいつら、チョット加工しようと思ってるんだ。前がいい?後がいい?」

「加工って何するのよ」

「チョットひん剥いてチョンってやろうと思って」

「なら加工前にして」

「武器は木の枝にしとくね」

「好きにして」


「君たちはあのお姉さんに可愛がってもらってね。もしあのお姉さんを捕まえることが出来たら、その時は私がたっぷり可愛がってあげるから。お姉さん捕まえる前に私の所に来たら、また動けなくしちゃうからね。デトックス」

「ねぇミーア、アンタ性格変わったんじゃない」

いろいろありましたからねぇ、いろいろと。あんなの四六時中見てたら性格も変わりますって。一度やってみます?


「さぁて、次はあなたたちね。その汚れた服をヌギヌギしましょうか。っと、サフィア、目瞑ってて。教育上好ましくないものが見えるといやでしょ。見たいなら見てもいいけど」

「私ならいいのかっ!」

「エレンは経験豊富そうに見えるじゃん。いっぱい手玉に取ってそうだしさ」


ナイフを使って1人ずつ来ているものを全て綺麗に剥ぎ取ります。剥ぎ取った後は両手を後ろ手に縛ります。

エレンさんに教わった解体術が役に立ってます。これは解体術じゃないって。まぁそう硬いこと言わなくっても。固いって何が?………知りませんよっ!

「さぁて、最後はお頭さんの番だねぇ。ちょーっとお話聞かせてもらえるかな。さっき、私たちの事、商品って言ってたわよね。あれってどういうことかしら。素直に話してくれないと、こいつのココ、ちょん切っちゃうわよ」

「お頭っ!助けてください」

「お、俺も詳しいことは知らねぇんだ。時々来る奴が、い、いい女がいたら買ってってくれるんだよ。き、傷もんは買い叩かれるけど、傷もんじゃねぇ上物は高く買ってくれるんからなぁ」

あぁ、嘘ですね。目は泳いでるし、上手く喋れてない。嘘ついてますってオーラ全開だね。

「へぇー、正直に言ってくれないんだ。今の状況解ってるよねぇ、どっちが上なのか。約束だからね」

「ぎゃぁ――――!!!!」

チョイッと摘んで、スパッです。汚らしいものを触るのは嫌だったんですけど、仕方ありません。女の子に摘まれることなんて金輪際ない事ですから、物理的にも。最後のご褒美ってところかな。止血はしてあげましたよ。涙を流して喜んでいるのでしょうか、ボロボロと泣いています。きっと天使のように見えたのでしょうね。誰ですっ!今、悪魔だって言った人は。そうですか、貴方でしたか。ツ・ギ・ノ・ギ・セ・イ・シャ・ハ。

「わ、解った。正直に言うんで待ってくれ」

「私に2度目はありません。次です。あなたたちの盗賊団のお名前、なんていうのかしら」

「お、俺たちは『ブラック・ボア』だ」

黒猪ですか。ブラック・ベアだったら黒熊だったのにね。黒熊の方がカッコいいじゃない。何?個人の見解ですって?まぁ違いないですけど。

「ブラック・ボアって何人ぐらいいるのかしら」

「これで全部だ」

まだ解ってないようですね。さっき私の事を悪魔だって言ってた彼の所へ行きます。

「ま、待ってくれ。俺たちは30人ぐらいだ」

「貴方には聞いてませんから」

「ぎゃぁ――――!!!!」

2人目の完成です。


「ミーア様、何してるんですか」

「いやぁ、ちょっと事情聴取をね。エレンの方は終わったの?」

「はい、頭と胴体に永遠の別れを与えてあげました」

貴女の方がよっぽどグロじゃないですか。

「サフィアは目瞑ってる?」

「はい。ミーア様が裸の男の人を苛めてるとこなんて見てません」

「サフィア、アンタったら。出てきてもいいわよ。サフィアの事はエレンが護ってくれるから」

何あの嬉しそうなステップ。怖かったんじゃなかったの?


結局全員ちょん切られてしまいました。みんな涙を流しています。新しい世界が開けたことが、そんなに嬉しいのでしょうか。残り僅かな命だというのに。

「サフィア、これからちょっと凄惨な場面が続くけど、戻ってる?人が死ぬけど?」

「いいえ。悪い人がミーア様を怒らせるとどうなるのか、ちゃんと見ておきます」

「気分悪くなったら戻っていいからね。後でいっぱい慰めてあげるからね」

「私も慰めてくださいよぉ。私も慰めてあげますからぁ」

「エレンはいいの」



「さて、この優しい私が貴方たちに未来の選択を与えましょう」

「五月蠅い、この悪魔がっ!」

スパッ!

余計なこと言うから頭がなくなっちゃうんですよ。気を付けてくださいね。

「ではもう一度、貴方たちには2通りの未来が残されています。1つは森に放置される未来。その場合だと獣や魔物の餌でしょうね。もう一つはこのままここに放置される未来。運が良ければ誰かが拾ってくれるかもね。恥ずかしい姿を見られちゃうことになりますけど。さぁ運命の時間です。すぐに決断できないような奴は、あの男と同じ運命をたどることになりますよ」

騒ぎだした3人は、胴体がなくなりました。残る5人は全員ここに放置されることを望みました。おっと、血祭り1号がまだいるじゃないですか。こいつはちゃんと処分しなくちゃいけませんねぇ。

「ところでアンタ、こんなに可愛い美少女を前にしながら、私に目もくれずあのお姉さんをいい女って言ってたわよね。更に私を廻すとか」

「………」

「いくら私が慈悲深いからって、許せるものと許せないものがあるんですよ。解りますよね」

「………」

「貴方には罰を受けてもらいます。私の作った特性ポーションを飲んでもらいます。大したことありません、ただの毒薬です。致死性のモノではありませんから安心してください。ちょっと気持ちよくなるだけですから」

私が用意したのは強力な幻覚作用を引き起こす毒です。運が悪けりゃ精神が崩壊してしまいます。大概運は悪いようですが。

「ほら、お飲みなさい。この私が飲ませて差し上げますわ」

上を向かせ、口の中に注ぎます。

「吐き出しても無駄ですからね、いくらでもありますから。早く飲まないと息ができなくなっちゃいますよ」


エレンの片付けた5人と、さっき私には向かった4人の死体は、森の中にポイッです。こんな下っ端じゃ賞金首にもならないでしょうからね。私が始末した訳じゃありませんよ。ゴーレムを作って始末させました。錬金人形はいろいろ面倒だからね。

たっての希望でここに残る事にした5人は、例の姿のまま並べます。5mぐらい間隔をあけて。今度はちゃんと裸足にしましたよ。だって全裸に靴だけ履いてるって変じゃないですか。直立不動で立ってるんじゃ面白くないんで、ポーズもつけました。最後に首からプレートを下げて完成です。

「私は盗賊団『ブラック・ボア』の一員です。

私は天使のような女性に手を出してしまい、このような姿になってしまいました。

私は今、強力なマヒ毒に侵されています。

解毒薬は王都の『ミル薬局』にあります。」



「ミーア、あれはやり過ぎだって」

「そんなことないって。だってあいつら、エレンの事は大事にして、私の事をやり廻すって言うんだよ。あれぐらいやって当然だって」

「それもそうだけど、アンタもっと簡単に片づけられたんじゃないの」

「瞬殺しようと思えばできたけど、せっかくの大型イベントだし、楽しまなくっちゃって思ってね」

「アンタやっぱり、ベルンハルドにいた時から大分性格変わったわ。いい性格にね」

「性格よくなったんだ」

「『性格がいい』んじゃないの。『いい性格』なんだって」


何してるのかって?全裸でアソコをちょん切られた自称お頭って奴にアジトまで案内させてるの。案内なんてさせなくたってこいつの魔力追跡でアジトの場所は分かってんだけどね。


ここがアジトですか。立派な掘っ立て小屋ですね。どうやらここは樵の作業場だったところのようです。

「ボス、助けてくだせぇ」

「お前、何て……プッ」

そりゃ、笑っちゃいますって。あんなカッコになって帰ってきたら。

「アンタがボス?あたしたちこいつらにイチャモン付けられたんだけど。どう落とし前付けてくれるのかしら」

ちょっとエレンさん、初っ端っからエレン節、全開ですか。

「はぁ、女だてらに気風のいいやっちゃなぁ。女としても悪くねぇが、者ども、やっちまえ」

「「「「「おぉーっ!」」」」」

「ミーア、一気にやっちゃって。甚振んなくっていいから」

「ハイハイ、それではマルチさん、全開で行くよ。ウォーター・カッター!」

無数の水の刃が襲い掛かります。次から次へと、絶え間なく。盗賊たちは切り刻まれ、倒れていきます。

「全部片付けたよ。もう盗賊はいないみたい。残ってるのはコイツと、捕まってる人かな。こいつどうする?」

「動けないようにしといてくれる。話聞きたいから」

「お前ら一体、何もんなんだ」

「パラライズ・ミスト

中探ってくるね。捕まってる人助けなきゃいけないし。お宝もいただいてこなきゃいけないから」

「気を付けるのよ」


しかし、歯ごたえのない連中です。わけわかんないうちに死ぬより、『あー、もうすぐ死ぬんだな』って実感持たせた方がいいと思ったからああやったんですけど、結果は同じでしたね。数の暴力もそれを上回る数には敵わないって事でした。

もしかしたらまだほかにいるかもしれないので、探索は全開です。

今の私のお仕事は、お宝の回収と捕まってる人の保護です。周囲に気を付けてそろりそろりと、なんてことはしませんけど。マルチさんが先行してくれてますから。

お宝は………この規模でも結構ため込んでますねぇ。いつも私のためにありがとうございます。根こそぎ頂いていきます。

捕まっていたのは女性ばかり8名。男の人は殺されたそうです。全く酷い奴らです。

とりあえず体を綺麗にして、服を用意します。草の繊維から作ったんでちょっと着心地悪いかもしれないけど、我慢してね。

11人かぁ。私の馬車小さいから乗れないかな。


あれっ?なんでボスがチビッてるの?エレンさん、強烈に追い込んだんじゃないんですか。後でサフィアに聞いてみよっと。

「終わったよ。捕まってたのは8人。お宝も全部回収してきた」

私の後ろからぞろぞろと8人が付いてきます。回収してきたお宝を広げました。

「この中にあなた達のものがあったら持ってって」

泣いてる人もいます。家族のモノなのでしょうね。

「コイツ、賞金首っぽいけど、どうする?」

「この人たちのためにもお金は欲しいとこよねぇ。首だけだとだいぶ下がるんでしょ」

「賞金は同じなんだけど、奴隷としての売却代金が入らないからねぇ」

「じゃぁ、さっきみたいにひん剥いて、馬車に繋いで走らせるか」

「それで行きましょ」


私たち3人と捕まっていた人8人は、盗賊団のボスを引き摺りながら次の街に行きました。


いよいよ明日はニールです。


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