【毒使い】だっていいじゃない 毒は薬にもなるんだからさ~パーティーを追放された少女は王女だった!?次々と覚醒する能力で幸せを目指します~
第12話 Aランク昇格試験(パート4)(side 金色の月光)
第12話 Aランク昇格試験(パート4)(side 金色の月光)
「今回の試験の結果をどう見る」
「11チームのうち4チームが脱落、間に合った中でも3チームはほぼ戦力外か。質が落ちたのか」
「そうではないと思うぞ。俺は『金色の月光』に同行してきたが、道中の魔物は今までと比べようがないほどの強さだった。フロアボスも3割から5割は強化されていたとみていいだろう」
「それには同意するな。確かに道中、ボス共に強化されている」
「今までそんなことがあったか」
「いや、初めてだ」
「これについては別件で調査の必要があるな。厄介なことにならなければいいが」
「あのダンジョンの調査となると、Aランクパーティーが複数必要になるな」
「調査が終わるまで試験を中止にするか?」
「その必要はないだろう。今回だけかもしれないし」
「今回のAランク昇格パーティーについてだが」
「まあ『金色の月光』は文句ないだろう。既にAランク中堅の実力があるように見えた」
「パーティーのバランスもいい。支援職がいないようだったが後で募集するといってたしな。それにあのリーダーの統率力は目を見張るものがあったしな」
「あの試験のレイド戦で、初見のパーティーをまとめ上げたのは大きかったな。実質4パーティーで攻略だっただろ。彼の功績は大きい。指示も的確だったしな」
「それだけじゃない。彼らは目的を見失わずに進んでいける。野営にしてもそうだ。初日が3階の安全地帯、2日目が5階の安全地帯だった。彼らは事前の調査で安全地帯の場所まで把握していたんだ。それに休息の前には必ずミーティングを行っていた。気づいた点、明日の予定、気を付ける箇所など細かく。慎重さという面では野営の際に、安全地帯でありながら魔物の忌避剤を使い、侵入検知用のトラップを仕掛け、結界まで張る周到さだ。その上監視まで立ててたんだぞ」
「『金色の月光』は今回が初試験だったのか。とんでもないパーティーがいたもんだな。彼らはベルンハルド出身か」
「まあ彼らは昇格でいいだろう。他に昇格させるパーティーはあったか」
「『獅子の咆哮』はどうだ。確かに『金色の月光』が目立っていたが、彼らも堅実な動き、働きだったぞ」
「『獅子の咆哮』は前回に次いで2度目の試験か。前回は昇格に名前は上がったが見送られたのか。修正はできていたのか」
「前回は護衛対象への接し方が見送りの原因だったが、その点については修正されていた」
「『獅子の咆哮』についても昇格でいいかな。他にはあるか」
「いや、この2つだけだろう」
「それでは今回の試験での昇格は『金色の月光』と『獅子の咆哮』の2パーティーとする。次回の試験開催も予定通り。以上だ」
**********
昇格試験から3日後、俺たちはギルド本部に結果の発表を聞きに集まっていた。
「Aクラスパーティーに昇格を決めたものは、『金色の月光』と『獅子の咆哮』である。
他のパーティーは残念ながらAクラスへの昇格は見送りとなった。しかしながら、今回昇格できなかったパーティーも、Bランクパーティーの上位パーティーだ。昇格に不足していた点を補い、再びAランク昇格試験を受けるのもいいだろう。
Aランクに昇格する2つのパーティーもさらなる高みを目指すように。Aランクパーティーは全てのパーティーの目標でもある。Aランクパーティーとして相応しい力、相応しい態度をとって欲しい。以上だ。
『金色の月光』と『獅子の咆哮』はこの場に残るように。昇格の手続きを行う」
俺たちは無事にAランクパーティーになることができた。ベルンハルドの更に先、小さな町で育った4人は、冒険者の目標でもあるAランクパーティーまで上り詰めた。
「支援職の募集でもするか」
「どんなジョブの人がいいんだろう」
「少なくとも【毒使い】はダメだな」
「【盗賊】もダメだろう。イメージが合わなさすぎる」
「やっぱり戦える支援職って言うと【レンジャー】なのかな」
「【密偵】っていうのはどう」
「【密偵】か。それもいいかもな」
「まあ、募集をかけてみて気長に選ぶとしようぜ。4人でやってけないこともないんだし」
翌日、ギルド本部の前に新しくAランクパーティーとなった『金色の月光』と『獅子の咆哮』の名前が張り出された。上級貴族家の人たちや大商家の人たちが見に来る。護衛を頼む時の準備だったり、専属冒険者として抱えるためだったり、様々な思惑をもって。
そんな中にサウムハルト侯爵がいた。彼は王国の財務局のナンバー2で、実質全ての業務を取り仕切る立場にあった。彼が見ている先は『金色の月光』。彼らに接触しようと考えていた。
**********(side ミーア)
私は『金色の月光』がAランクに昇格したことをギルドで知ったの。まだ、エレンさんの厳しい特訓を受けてた真っ最中ね。薬草採りやゴブリン退治なんてまだまだの時よ。
『前のパーティーのみんなが頑張ってAランクになったんだ。私ももっともっと頑張んなきゃ』
そう思ったこともありました。でも次の日には元に戻っていました。
『私は私。無理はしない』
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
えっ?ざまぁされると思った?
そんなそんな。実はもっと大きく熟してから採らないともったいないでしょ。
新キャラも出てきたことだし、大事に育てないとね。脇役だけど。
ざまぁ?されますよ。盛大にね。
でももう少しいい夢を見せてやります。いい感じに持ち上げて、思いっきり叩く。
これが正しいざまぁです。(あくまで個人の感想です)
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