インドア派
生きている人形である
ただ、どうしても、彼女のこの性格には誰もついてこれなかった。最初は生きている人形という存在に興奮しテンションも高くなるが、結局は持て余して手放すことになる。そういう人間の下を渡り歩くうちにさらに璃音も自分が受け入れられないことに対して捻くれてしまってますます荒れる。荒れればさらに持て余す。
完全に負の連鎖というものだった。
そんな璃音の唯一の楽しみは、ネットだった。年齢も性別も関係なくなるネットの中なら、人間であるかどうかすら関係なくなる。自分が人形とかそういうのは関係なくなる。だから彼女は、ネットの世界にのめり込んでいった。
なのに、
そういう部分を見て、麗亜は思ったのだった。
『この子、態度から受ける印象ほど悪い子じゃないよね』
と。
『あれかな。ツンデレとかそういうのに毒されすぎちゃってる子供って感じなのかも』
と判断した。だからある意味では、面白がっているというのもあったのだろう。
人間からすれば小型に見えるノートPCも璃音と比べれば冗談のように大きくて、一番小さなマウスを買ってきたのに、まるで枕を操ってるかのように傍目にはすごい違和感だった。キーボードを打つ時も全身を使って打っている。
それでも慣れているのだろう。璃音は自らセットアップを行って、麗亜に言った。
「LANケーブルを挿してちょうだい。無線は嫌なの。じれったいから」
それを聞いて、麗亜もピンときた。
『ああ、ガチ勢なのね』
麗亜もインドア派で、時間があれば一日十時間以上ネットをしていることもあるタイプだった。と言っても、アニメなどの視聴が主だったが。
オタクと呼ばれるほど入れ込んではいないもののアニメは好きでよく見ていた。ちなみに、燃えるとか萌える系よりは単純に笑えるものとかクスッとしてしまう系の話が好きである。
「今日は一日、一緒にいてあげるよ」
自分のノートPCを開けながら微笑む麗亜に、璃音は彼女の方を見ないままで
「ふん! 勝手にすれば!?」
と吐き捨てたのだった。
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