第279話 偵察機
つまり、こちらで1時間経過すると、繋げた先でも1時間が経っているのだ。
先程繋げていたのと同じ座標指定で繋げても、そこは1時間後の世界に繋がる。
つまり同じ時間に戻りたいのならば、
だからこそ、探査して戻るということが可能なのだ。
この時間指定を応用するととんでもないことが可能となる。
例えば農業だ。
作物を植えて、収穫できる時間に進み収穫する。
そして、また作物を植える時間に戻り作業する。
また収穫できる時間に進み収穫する。
水やりを自動化し、病気や虫害は農薬で、連作障害を窒素固定肥料などで回避すれば、同じ土地で無限に収穫出来てしまうのだ。
失敗したら戻ってリセット。そんなことも可能だ。
ここにタイムパラドックスが発生して無限の平行世界が出来てしまうのかもしれないが、それさえ気にしなければ、そんな農業が可能になってしまう。
尤も、我が国では魔法による促成栽培が可能なので、それすら必要としていない。
しかし、そうやって収穫していた形跡のある世界がデータに残っていたアドレスから発見されていた。
おそらくガイア帝国が過去に管理していた農業遺跡だ。
そして、
いや、第13ドックの技術で
おそらく、時間設定の限界は、
極端に離れた世界、或いは時間的に遠い世界に繋げるには多大な電力が必要になる。
バイゼン共和国とトラファルガー帝国では、その蓄電時間のせいで
だが、ここの
やらないけどね。
ガイア帝国自体、どれだけ危険な帝国なのか解っていないからね。
後継国家を自称していたガイアベザル帝国がああだったのだ。
そして、陸上艦を運用していた軍事力、無理をしてまで接触する必要は無い。
◇
そこは円状に広がる工場施設であり、その外は荒れ果てた野が広がっていた。
そこで製造されている機械の主となる生物は、この施設には存在しなかった。
どうやら、過去に完全に見捨てられた工場施設が自力で稼働し続けていたという雰囲気だった。
その工場を守るために多脚戦車たちは稼働し続けていたようだ。
工場を守り、壊れた仲間を素材として仲間を製造し、また工場を守る。
それを幾百年続けて来たようだ。
素材の一部は荒野から拾って来てもいるようだ。
ここがトラファルガー帝国が繋げた世界と同じだとすると、このような工場施設がまだ他にもあるのだろう。
俺は、多脚ゴーレム――多脚戦車とゴーレムのハイブリッド機――を改造し、偵察機とすると周辺の荒野に解き放った。
なるべく他の脅威は把握しておきたかったのだ。
もし、トラファルガー帝国が来ているならば、動きを探りたかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます