第278話 多脚戦車をいただく
ゴーレムが新たな世界へと探索をしに行った。
魔素が無い世界でも燃料石のあるうちは、魔法技術による機械も稼働可能だった。
今、俺は録画によるゴーレムの探索映像を見ている最中だ。
向こうの世界の機械は自律稼働しているようで、それらに指示を出している生物の存在は確認出来なかった。
多脚戦車などは、何らかの施設をパトロールしているようで、動いているゴーレムには果敢に攻撃を仕掛けて来ていた。
しかし、ゴーレムを静止させると、それだけで見失ってしまうようで、簡単に対策が可能となった。
むしろ電気式の機械には反応するようで、
もしかすると電気に反応しているのかもしれない。
となると生体電流の流れている生物、つまり人も狙われる可能性があった。
その対策として、俺は探索ゴーレムを派遣しては
これは、この実験室の
任意に
その派遣したゴーレムが録画して来た映像を俺は今、見ているわけだ。
「こちらに来た自律機械は、どうしている?」
「はい、先に破壊した自律機械の分析により、構造を把握いたしましたので、こちらで利用出来るように
いろいろ面白い装置が手に入っておりますよ」
そう言うと、セバスチャンが口元をニヤリと笑わせた。
うわー、セバスチャンにかかると、殺りく兵器も素材の山か。
あれ? これって魔物を倒して素材を手に入れてるのと大して違いが無いぞ。
「その面白い装置は、こちらで使えるのか?」
「装置そのままの転用は今でも可能です。
しかし、量を必要とすれば、製造出来ることが求められますので、しばらくお待ちください」
ああ、仕組みを調べてそれを製造出来るようになるのが、セバスチャンのゴールなのか。
俺は手に入れた装置を使えるだけで良いと思っていたが、たしかにそれが理想だよね。
「そのために、そろそろ探査の他にも、狩りを開始しようかと思いますが、いかがでしょうか?」
セバスチャンにかかれば、この未来兵器の世界も狩場なんだな。
「こちらの世界に危険が無ければ存分にやっちゃってくれ」
こうして知らないうちにゴーレムが多脚化するなど、第13ドックに変化がみられるようになった。
外観だけだと、こちらが侵略されていてもわからないので、ちょっと怖かった。
そのゴーレムは俺に対して従順だったため、まだ大丈夫だと確認できたが、ある日を境にゴーレムが反旗を翻すなんて想像をしてしまった。
ター〇ネーター観ちゃうとそこらへん敏感なのよね。
「我々の魔宝石による制御装置は、電子式の制御装置からの干渉を受けないので心配ありませんよ?」
セバスチャンが慰めてくれたが、怖いものは怖い。
むしろ性能向上による意識改革によって人に仕えるのをやーめたという方向の方が怖いんだよね。
そうならないように、セバスチャンたちゴーレムに見捨てられないように頑張ろう。
まずは、狩りと並行して行われている探査映像のチェックだな。
「あ、ストップ。
今の製造工場の制御室じゃない?」
俺はながら見していた新たな映像を止めた。
そこには、多脚戦車を製造するラインと、それをコントロールしている制御室らしいものが映っていた。
「このラインにこちらに従う機械を作るような工作は出来ないかな?」
セバスチャンが一瞬止まり、思考の海に潜った。
「可能です。制御装置の解析が終了していますので、そこにこちらへの帰属――所謂敵味方識別を植え付けましょう」
これが成功すれば、その工場で製造される多脚戦車は、こちらの戦力となる。
異世界探索がもっと楽になることだろう。
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