第254話 確定
『
『了解』
もしこの攻撃がバイゼン共和国のものではないのならば、先の海戦に参加した西部方面艦隊がそのまま残っているはずだ。
『守備艦隊以外の西部方面艦隊の存在を確認できず』
「そうか……」
バイゼン共和国に接近し偵察に行った
それは嫌な予感が敵中したことを意味していた。
だが、まだ確定ではない。
確定するにはもう一つ確認する必要があった。
『
『了解』
先日撤退したトラファルガー帝国の残存艦隊が丸々残っていれば、これで全てが明らかになるだろう。
『トラファルガー帝国の艦隊を確認しました』
レンジの広がったアクティブレーダーにも無数の光点が見受けられた。
これでバイゼン共和国の攻撃であったことが確定した。
「ルナトーク王国ならびにアルペン領――旧ペリアルテ商国東区――に通達、バイゼン共和国と我が国は交戦状態にある!
貿易を止めるように伝えよ」
このまま敵国に荷を運んでいっても奪われるだけだろう。
輸送船撃沈事件の原因が判明したいま、へたをするとバイゼン共和国との貿易が再開してしまっている。
それを止めて、今後はイスダルの港まで南下してもらって、トラファルガー帝国と貿易をするしかない。
沿岸部は海洋性の魔物が多いかもしれないが、未だ何艦か残っているバイゼン共和国の戦艦を相手にするよりはマシだろう。
海洋性の魔物ならば、小さな帆船など見向きもしない可能性がある。
「さて、これからどうするかな」
バイゼン共和国の運命はトラファルガー帝国に委ねられたも同然だった。
だが、このままトラファルガー帝国の東大陸統一を傍観していても良いのだろうか?
ゲートを3つ手に入れたトラファルガー帝国が、次に狙うのは西大陸ではないのか?
我が国には手を出さないかもしれないが、それはゲートから我が国に対抗しうる兵器を手に入れるまでのことだろう。
先の海戦で、我が国はトラファルガー帝国の戦艦を沈めすぎた。
戦艦の乗組員は1艦軽く千人はいるだろう。
それを50艦ほど沈めている。
その関係者の恨みは消えることは無いだろう。
今は我が国の戦闘力を恐れて戦いたくないというのが本音だろうが、切っ掛けさえ有れば未来永劫平和が続くとは思えなかった。
「仕方ない。トラファルガー帝国の使者との会談を再開するか」
ここでどの程度の譲歩を得られるかで、トラファルガー帝国の思惑が見えてくるだろう。
厳しい交渉となりそうだった。
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