第168話 迎撃
火竜の妨害により弾着観測が出来なくなったてめに、魔導砲の砲撃効率が落ちてきた。
パッシブレーダーで観測しても、そこには一塊となった魔力の塊しか見えなかったのだ。
巨大な魔力反応が案外小さな魔物だった場合、魔物の大群を殲滅しているつもりが、実はほとんど何もいない荒野だったり、火に耐性がある魔物に火魔法を撃ち込んで無駄だったり、そんな非効率なことになっているであろうことが推測された。
なので
「
ミーナは、過去に一度これに乗っている。
「これはあの時の整備が思うようにいっていない不完全な機体じゃない。
第13ドックで製造された新品の完動品だ。
一瞬の判断ミスが死につながる。操縦はさせられないぞ」
俺はミーナの身を案じて言ったんだが、ミーナは聞き入れない。
「大丈夫にゃ。乗るだけにゃ。操縦はゴーレムに任せるにゃ」
「本当に? 絶対に操縦しようと思うなよ?」
俺は根負けして搭乗を許可してしまった。
すると他の機体にも獣人たちが乗っていく。
「おいおい」
「大丈夫、大丈夫」
なし崩し的に全機に獣人たちが乗り込んだ。
まったく、彼ら獣人たちは好奇心旺盛すぎる。
まあ、彼らは傭兵として元々ワイバーンに乗っていたし、
今後、
だから大事にしたいところなのだが、彼らは本能でどうにかしようと訓練や手続きを端折ろうとする傾向がある。
「頼むから、墜ちないでくれよ」
護衛で
その火竜を
その時、
いざという時の必殺兵器として追加装備させていたものだ。
これは制御ソフトが間に合っていなかったので、ゴーレムの制御下には無かった武器だった。
「ミーナめ。やりやがったな!」
撃ったのはミーナ機だった。
どうやらミーナが操縦を奪い、マニュアルで重力加速砲を撃ったらしい。
まあ、結果オーライだったが、無理はしないで欲しいものだ。
おけげで
そんなルーティンで砲撃を続けていたところ、魔物たちに動きがあった。
『魔物が大峡谷へ侵入しました!』
大峡谷を監視していた駆逐艦パンテルから魔導通信が入る。
どうやら、山脈に邪魔されて出来たこちらの砲撃不可能範囲が把握されたようで、魔物たちが砲撃の届かない場所に待機するようになった。
待機していた魔物の数が一定数に達すると、大峡谷の壁ギリギリの死角を利用し魔物がベヒモスを先頭にして大峡谷へと侵入してくる。
『魔導砲、光魔法『光収束熱線』発射!』
ベヒモスに光魔法が当たるも、防御魔法陣の結界で耐えながら前進してくる。
更に僚艦が魔導砲を撃ち込み結界が破れ、ベヒモスに直撃。都合4発でベヒモスを倒した。
敵の布陣を
。迎撃に上がって来た火竜を
その情報により魔導砲を撃ち込む。
ベヒモスが侵攻してくりと、ベヒモスを魔導砲で撃つ。
その繰り返しがルーチンワークと化す。
何度も迎撃していくうちにベヒモスの強固な甲羅がトンネルを形成していた。
そのトンネルを魔物が通過してくる。
そうなると放物線軌道による火魔法や直上から撃ち下ろす雷魔法が通用しなくなる。
このように魔物は損害を出しつつも、ジワジワと前進して来ている。
そのうち大峡谷を越えこちら側に魔物の侵入を許すことになるだろう。
もはや、大峡谷の向こう側に進出して砲撃するしか手がない。
そのためには大峡谷内で火竜に爆撃されないように制空権をとる必要がある。
輸送艦の簡易空母化の改装完了には1週間がかかる。
本来なら完成しても、この北の峡谷まで陸路で6日ぐらいかかる。
(これは輸送艦の速度で。戦闘艦はもう少し速い)
そのため改装が完了したら、俺が第13ドックまで転移してインベントリに輸送艦を入れて戻ってくる。
これで最速での運用が可能になる。
つりに輸送艦改装の簡易空母が完了した。
俺は第13ドックに転移し、輸送艦と
インベントリから簡易空母を出し、
いつの間にかミーナたちは
彼女たちも必死になって操縦を学んでくれたのだろう。
ゴーレムで運用した場合は火竜対
これが有人戦闘になると2:1に逆転するのだ。
そこまでミーナ達が操縦の腕を上げてくれていた。
さあ、いよいよこちらが進軍する番だ。
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