一、「ヒトの価値」

 結局のところ、人は見た目です。内面こそ大切だというのは、まやかしです。

 人間の価値は外観で決まるんです。ほぼ十割。はっきり言って、性格や精神性など、外面の美しさに比べれば、ゴミほどの価値もありません。

 どう言い繕うが、人間は、社会は、外見でその人を判断するんです。

 例えば、体のプロポーションの優れた者は、概ね高い社会的地位と信頼を得ていますよね。腰殻が引き絞ったように細い方、第二剣腕が地に届く方が、侮られることはまずありません。

 そして頭部の鱗の青さや首元を覆う繊毛の艶などに、絶対的な価値基準が潜むことに疑いを挟む方もいないでしょう。

 とりわけ複眼の数に対し、人は本能的に抗いきれません。九個と十二個では、その人生に圧倒的な差が出ますよね。それが真実です。

 あ、そこの地を這う虫を見てください。誰があれを価値ある生き物だと考えますか? 繊維を薄片状にした物のほか外装のない生白い肌、頭部から無意味に伸びる毛。関節の少ない四肢のうち、たった二本で直立歩行する奇妙な体形。この醜い姿の内に、美しいものがあると思う者はいますか? ためしに摘まみ上げて、中を開いてみましょうか。……ほら、やっぱり汚らしい赤い汁と嗅ぐに堪えない汚物が吹き出すだけです。ああ汚い。外も内も。揚げるとおいしかったりするんですけどね。

 おっと話がそれました。言いたいのは、人は美しくあらねばなりません、ということなんです。美しさと幸せは同義です。

 最近は特に背の光棘を輝かせることが、美のスタンダードになりつつあります。

 そこで、この<黒曜油>です。

 毎晩薄く塗りつけるだけで、光棘の透明度が上がっていきます。お試しになりますか?

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