プチ脱走、だが!すぐ帰るよ!!

「もう!いやだ!せっかく自由になったと思ったのに!!昨日今日めんどくさい事ばかり、もう出ていく!!」


 あの後、ストレスがマッハで溜まりベットの上でバタバタと

 駄々をこねていた。


「よしよし、大丈夫よ。私がいるからね~」

 なでなでしてくる、マイさんの胸に顔を埋めながら泣き真似をしていた。


「すこし・・・お出かけしようか?もちろん、みんなに迷惑かけたらだめだから、村長さんには一言言って行こうね」

 聖母のような、笑顔で言ってくる。


「うん!行く~新婚旅行だね!」

 ワクワクしながら、『新婚旅行』のワードに反応したのか。


「いきたい!私うみに行ったことないから、海に行きたい」

 ズンと顔を近づけて来るから『チュッ』としてしまった。


「もう!行きなりはズルいです!!」

 プ~!とほっぺたを膨らませながら…喜んでる。


「でも、ミズキの引き渡しもあるから一週間後には帰ってこないとね」

 そういえば、なんであそこの場にミズキが居たんだろう?


「そうね。一週間で海までいけるのかしら?」

 二人で悩んでいると


「そこで!わたしが用意しました。これを見て」

 ど~ん!と、扉が開くとそこには、影君が立っていた。


「でも、その前に影君は、やめてよ、もう私は立派な女の子よ!」

 なるほど、とうとう俺から完全に独立したのか・・・別にいいけど。


「もう名前考えてあるよ、{シャール}だよ。どうかな?」


「シャール?やった!女の子らしい名前だよ!ママ!いいでしょ!」

 子供っぽい笑顔で、マイさんの胸に顔をうずめてる。ああ、そこ俺の場所・・・


「でね!これだよ!」

 そこに落書きが出てきた・・・・なんだこれ?


「バイクだよ!しかも三輪バイク、この世界舗装されてないから荒い道でも走行しやすいようにしたよ、タイヤはゴム製じゃなくてカエル製だよ!ゴムの木は見つけたけど、まだ加工技術が出来てないから待ってね!でも、地球のゴムは化石燃料だったから、まだまだこっちの技術じゃね~大体大気汚染が嫌だから、もっと天然素材を探すつもりだよ!何てたって、魔法のある世界だからね」

 そっか!そうだね、だから頑張ってみよう!


「ありがとう!シャール大事に使うね~・・ところで現物は?」

 そういえばここ、寝室だった。


「ぱぱ、明日広場に出すから期待していてね!さっ村長の所に行こう」

 そして、手を掴んでくるけど。マイさんが


「ダメもう遅いから、三人でお風呂入って今日は、もう寝ましょうね」

 ささっと、着替えの準備して籠に入れていく。


「「は~い」」


 シャールとおれは、嬉しそうにマイさんの後をついていくのだった。


 ーーーーーーーーーーーー


 翌朝、三人で村長さんの所に行くと、書類仕事をしていた。


「これは、コウイチ様朝から、ご足労頂きありがとうございます。いかがなさいました?」

 不思議そうに聞いてくる。


「俺出ていこうと思うんだ!!」


「なななななななっ!!!何言ってるんですか?いきなり、出ていくなんて!!もう、コウイチ様は、この国の代表!!一国の王ですよ!だめですよ、出ていくなんて!!もうもうもう!!」

 あら?こんらんしてるな。


「あなた、そんな簡素な言葉なら、村長さんも困りますよ、私たち、新婚旅行で海に行ってきます、すぐ戻りますんで、いいかしら?」

 そうだった、戻ってくると言ってなかった。


「そうなんだよ。俺ら新婚旅行もまだだったからね・・・いいだろ?」

 村長に、肩を組みながら頼む。


「なんだ、出ていくワケではないのですね・・・体重が500g減りましたよ。最初の言葉が衝撃的過ぎて、ダメと言えないじゃないですか・・・どのくらいですか?」

 ショックすぎて、ダメと言えないようだ、ダメと言ったら本気で出ていくかもしれないと、思ってるんだろうな。


 ダメと言ったら、リアルに帰らないけどな。


「いい判断だね、ダメと言ったら帰ってくるつもりはなかったよ」


「やめてくださいよ、やっと軌道に持ってきたところですからね、もちろんですとも・・・で?何日ほどですか?」

 安心したのか、要求を呑んでくれる。


「約一週間くらい、いいだろ~行かせてくれなきゃ・・・海の果てに逃げる」

 割と、本気の顔つきでキリっと見つめる。


「その前に、軍事大臣にケジメをさせるんで、これに付き合ってくださいましたら、大丈夫です」


「なんだ、そんなことか、いいよ~もう怒ってないしね、俺もやりすぎだなぁと、反省してたんだ~いい機会だから急いでいこう」

 ダッシュして、扉を開けて廊下を走る。




「どこ行けばいいの?」

 どこ行けばいいか分かんないから帰ってきてしまった。


「ふふっ!こちらです」

 村長に連れられて、コロッセオみたいな訓練場に連れられて特訓している騎士たちがローグに特訓されている。


「おい!お前ら、やる気あるのか!!そんなチンタラしてたら、蟻にも負けるぞ!!気絞めていかないか!!」


 五人ほど、でっかいプレートを着た騎士たちを相手にしている。


 こいつは、本当に強いな。


「ローグ、コウイチ様が来られたぞ!こっちに、来てください」

 大きな声で、ローグを呼ぶとローグが固まる。


「ココッココウイチドノだと?」

 こっちを振り返らない。


「こら!失礼でしょう!!早く来なさい」

 村長が、青筋立てて切れた。


「・・・・・・・・・・・!!サンダーボルト!!!」

 超恥ずかしい長い呪文を唱えて魔法を放つ。


「あばばばばばば!!!」

 ばたんと、たおれた。


「こちらへ」


 村長が、呼ぶ・・・大丈夫かな?ローグさん。


「大丈夫かな?」


 倒れている、ローグさんの横に座って


「大丈夫?生きてる?この前ごめんね?つい、身内がね・・・あれ、されると怒っちゃうんだ、この前のが納得いかないなら、もう一回やってみる?」


「・・・・・・・・」

 ガタガタ震えている。起きてるじゃないか!生きててよかった。


「村長、謝罪したし起きてこないしまた今度でいいかな?」


「わかりました。でわ・・・・」


「ちょっとまて!ガキが!このまま帰れると思うのか?」

 いろんな種族の、騎士たちがやってきた!


「これ、お前たち、こちらの方は我らの王になる方だぞ!!その口の聞き方は!!打ち首にするぞ!!」

 村長さん激怒、まぁ最近できた集団だから、まだ統率が出来てないんだよね、それをまとめるローグさんは、すごいよ尊敬しちゃうね。


「まぁまぁ、村長さん良いじゃないですか、良い国になりそうですね~」


「なに、余裕ぶっている!!」

 腕を振り上げて殴りかかってくる。あえて、殴られておくか・・・


「ばきぃ!!」

 いたぁ~!!くない?

 目を開けると前には・・・殴りかかってきた騎士が倒れてた・・・なんで?


「あんたぁ!!うちの人に殴りかかるとは、なによ!!下チョン斬るよ!文句あるならあたしに、かかっておいで・・・勝てるかしら?」

 ニヤニヤしてる、こぶしを握しめているマイさん。そのよこには、楽しそうに笑っているシャールがいた。


「このアマ!」

 無謀にも、一人とびかかる!その、騎士は腕を斬られる。


「ぎゃ~~~!!」

 血が飛び散る!うわ~えぐいわ!!


「あれ~ママに殴ろうだなんて・・・腕で済んでよかったね」

 悪い顔しながら、ごみでも見る目で見下している。


「シャール殿勘弁してください。これから支える者なんで、どうかお許しを」

 膝を付く、村長。


「シャール、許してやって、治してやってくれるかな?」


「仕方ないな、うで繋げといて・・・・えい!」

 白い閃光が消えると、腕が繋がっていた。


「「「「「おおおおお!!!!」」」」」

 周りは、感嘆とした歓声が上がった!!


 シャールは、俺の耳元で『あの光はワザとw』


 ニコッと笑って、後ろに下がった。


「お許しを、この首を差し上げます、ですので部下たちは」

 あれいきなり復活?ローグさんが目の前で、膝を付いている。


「怒ってないからね、ローグさんこれからも、この国の事をお願いしますね」

 肩にとんと、手をのせる。


「ははっ!この間は、誠に申し訳ございません。この忠誠、身も心もささげたいと思っております」


「村長仲直りしたからね、後はよろしくね。ローグさんも任せたよ!」


「「かしこまりました」」


 これで一件落着だよね?ようし、新婚旅行の準備開始だ!!













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