マイさんとお買い物!

 村長の長ったらしい話を切り抜けて、街の商店街に来ていた。


「いろいろ商品ありますね?種族もいっぱいですね!エルフですかね?あれは、ドワーフ?あの小さい人は、ホビットですかね?猫耳・うさ耳・犬耳初めて見ました!すごいです!!」

 確かに、あの国にいたときは、ほぼ人間しかいないしギルドでは、ちらちら見てたくらい、一度話したら里以外は圧がすごいから仕事がないらしい、でも口減らしで出ないといけないので仕方なく冒険者になったんだって。


「そうだね!生き生きしてるね~俺も冒険者でギルドでは、仕方なくやってる人たちも居たからね。此処でやりたいこと見つけてほしいね」


「ふふっ、なんだかんだで色々考えてるんですね、もう面倒になったら脱走してやる!!なんて言ってたけど」

 笑顔で、腕組んでくる。最近成長した胸がいい気持ちだ、元嫁は貧乳だったもんな~、嫌いじゃなかったけど、愛があればそんなの関係ないんだよ!ホントだよ!!


「だって、仕方ないじゃん。ここまで来たら、少しはね・・・手伝いたいじゃん」

 かっこつけてるようで、少し照れ臭い。


「そんな、あなたに惚れたんです」

 ふわふわっした、空気で歩いてると。


「ひさしぶり!こっち来てたの?仕事かなんかできたの?」

 そこには、コトナちゃんの母ちゃんが居た。


「おう久しぶり!どうだったかな~元気だったかな?」


「あい!」

 コトナちゃんが、元気に返事した。母親に似てかわいい女の子になっていた。


「大きくなって!」

 ひょいと、抱えると『きゃっきゃっ』喜んでる・・・鼻の奥がツンとする。


「うちの子、人見知りなのに・・・コウイチくんが子供っぽいからじゃないかな」

 ははは!笑いながら、コトナちゃんの手を握る。


「俺いっとき、この街に居るから村長の家にいるから」


「え?ここの街の領主になって、将来的に王様になるって、噂になってるよ。だからずっと居るんでしょ?」

 いつの間にそんな話が、くそ!外堀が埋められる早急に対策せねば。


「まぁまぁ、いいじゃないですか、私この街好きですよ。あ・な・た」


「結婚したのかい?かわいい子捕まえて、憎いね~でも、気をつけなよ。コウイチくんは、男も女も助けると決めたら助けるからね、両方に惚れられるかもよ、隙を見せたら、かっさらわれるかもよ」

 真剣な顔で言ってくるもんだから。


「はい大丈夫です。もしも、浮気したらチョン切ります」

 ひゃ~~怖いこと言う、息子が、小指くらいに縮まったよ。ブルブル。


「じゃ!旦那と今からデートだから、またね~」


「あいあ~い」


「じゃぁね」


「コトナちゃんまたね!」

 二人の背中を見ていて・・・


「・・・・あの子見てて、考え事してたでしょ?悲しそうな顔してました。どうしたんですか?」


「・・・・なんでもないよ」

 そう、いまのギルの形をした俺には関係ない。しかも、マイさんが好きなのは【ギル】なのだ!!前世の【コウイチ】ではない。


 しかし、もうほぼ【コウイチ】になっている【ギル】は負けたのだ、疲れてしまっていたところ、前世の【コウイチ】が現れて考えることをやめて眠りについたのだ。


 もちろん、10歳までの記憶もあるけど、それは、ハードディスクに録画された、アニメを見てる感覚だし、あれから約4年で、さらに【ギル】の感情もなくなってきてる。しかし、マイさんを追い詰めたあのケーキ事件だけでも、滅ぼす理由には十分だ。


 それを、悟られたくない。たった一人、だいすきなマイさんに、知られたら嫌いになられそうだから・・・【ギル】じゃないと気づかれたら。


「よし!つぎつぎ~、あの服屋さんとかいいね!」


「いらっしゃい!」

 元気なかわいい、おばさんが声かけてくる。


「お~なんだか、この世界と違うデザインだね。Tシャツ?ボタンないけど、どうなってるの?」


「これはですね、何とかトードと言うカエルの素材で人畜無害で首元が着るとき伸びるんだよ、画期的だろ~いちいち紐結ばなくていいしね!」

 なるほど、いいね!みんな頑張ってるな!

 下を見てるとなんと!!ゴム製の長靴やゴム底の靴で通気性のよさそうな靴がある。


「どうしたの?この靴画期的だね!」


「それはね、コウイチ様が考えたとか言ってクルーラ様がチームを作って、作成したものですよ、しかもこの街にあるものは、ほとんど発案したのはコウイチ様ですって!どんな方なんだろうね~」

 そだね~どんな方なんでしょうね?


 俺か?サンダルはあるけど、足の裏痛かったんだよね~だからって気の靴は硬いし刺さるし、俺の貯金使ってもいいから下手な絵描いて渡していた。

 そっかぁ、うまくいったんだね。ぼくはうれしいよ。


「ここまで来たら、逃げられないわね」

 なんで、うれしそうな顔してるんだよ!ちょっと、うれしいけどな。


「じゃぁ、この靴頂戴!いくら?」


「2万エルだよ!」

 安い!でも

「1万5千」


「最新作だよ1万9千」


「そっか~でもここの縫い方甘いんじゃないかな~」


「ぐっ1万7千!!」


「それで!もらおうかな、そしてそこの、ワンピースもらおうかな?」


「ありがとうございます、お兄さん可愛いからこのワンピースに合わせた靴もつけて5万でいいよ!!」

 あれ?高くついた?商売人には負けるなW


「ありがとう!はいこれで!」


「お客さん、多いよこれ!」


「これからも頑張ってね!」

 店員さんは困惑するが・・・


「チップだよ、これからも頑張ってね!」

 そのまま、店を出て。


「この服、マイさんに似合うと思うな、この服」


「ありがとう、ギル様にもらってばかりだわ、いいのかしら?」

 かなしそうな暗い顔をしている。


「おれは、物でしか答えられない自分が悲しいよ、でも、いづれ、満足できるお礼をしたい・・・そして、ここでは【コウイチ】でお願いね」


「はいコウイチ様」

 そして、食品市場に査察に行くのだった。


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