スードラ・メモリィ

いづな

想像

 ボクは未だ未熟者。

 それは今の立場に関しても、この生に対しても同じ。

 自分の造り方を知らない。

 自分の慰め方も知らない。

 唯一は、自分の戒め方だけ知った。


 自分の求める物はいったい何だろうか?

 そう、自問して。

 分からない。愛情。

 そうやって、自答した。


 バカバカしいとは思っているけれど。

 それでも、ボクはなんでこんなことを考えられているのだろうか?

 この自問に対しては。

 生きているから。

 と、自答できたのだ。


 これから導き出される答えはないけれど、ボクが死にたくないと思うのには、何か理由があるのだと思う。


 まだ、希望はあるのか。

 その自問には敢えて、答えを出さないでおこう。


 その問いは、これからも必ずやってくる。

 だから答えは、最後にその問いが浮かんだ時。


 今は未知の希望を誓うだけ。

 神は知らない。

 神は僕を選ばない。

 神は幸福を与えない。

 そんなことはもう、知っている。


 そんな生での存在を、誰かに認めてもらうため。

 いや、それも違うはず。


 それを答えとすることに、責任はいつも無情につきまとう。

 だから答えを棄てた。



 ボクはこれから、答えを棄てることを『答え』としよう。




□□□□□




 ――皆々、『王』という立場に親近感はあるだろうか。


 豪勢な部屋と食事、巨大な屋敷、さらには数百人の家臣と従者に、数十の分家から成る血族構成――。



 それは偏見イメージの『典型テンプレート』と言えるだろう。


 つまるところ、大事なのはそこではない。



 人間というのは立場が上になる毎に『ルール』が人生単位で設けられる。

 一人の外出禁止や服装、身の回りの整理。

 膨大な知識と娯楽の禁止。



 ――奴隷属に対しての厳しい躾と許嫁の選定。



 『疎み』、『羨み』、『妬み』、『憎み』――――民からの思いは様々だが、そんなものより人生の『ルール』を、王自身は何を思って受け取っているのだろうか。


 その真相は王自身と、それに限りなく近しい人間しか分からない。


 それを、とある『一人の王』は嫌った。

 課せられた『ルール』も、過程を踏まない暴力と強姦が許される権力も。


 捨てたい、と。


 只管に『一人の王』はそう願った。


 だが、捨てるだけではつまらない。

 ならばいっそ、新しい『ルール』を作ってしまえばいいと彼は思った。


 その最中出会った一人の『奴隷』と。

 王に親しい者たちと。

 王自身が紡ぐ。


 ――――最も新しい『世界変革』。

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