第13話 罪と罰
幼いころは、罪には罰が宛がわれるのが当然だと思っていた。
罪の大きさに従って罰が与えられ、人の悪道は誅されるのが世の常であると、思っていた。
だからその時は、天罰や祟りなんかを人一倍信じたもので、無駄に祈っていた記憶がある。いや、無駄と言い切るのはよろしくないかもしれないが。
結局のところ、そうした天罰、祟りといった人の手を介さない、もしくは介せない強烈な罰があたると信じるのは、人が産んだ許し難い負の感情を処理するために作られた、架空の機構であるとわかったのは、それからもう少し後の事だった。
それは、罪をを犯す者にとっては、良い意味で罰が来ない。
それは、罪を犯された者にとっては、悪い意味で罰が来ない。
けれども。だから人は罰を代行しなければならない、ということがここで述べたいことではない。
罰が来なければ、人の定めた法下でも裁けぬ罪――いいや。裁くほどの価値が社会に存在しない罪は。その清算が訪れない。
それは、罪を犯した者にとっては、悪い意味で罰が来ない。
良い意味で、罪は己の犯した罰を清算してくれるのに。
なればこそ。己の身が背負う罪を、己のみが与えられる罪で償うべきである。
その罪を、清算したいのならば。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます