第13話 罪と罰

 幼いころは、罪には罰が宛がわれるのが当然だと思っていた。

 罪の大きさに従って罰が与えられ、人の悪道は誅されるのが世の常であると、思っていた。

 だからその時は、天罰や祟りなんかを人一倍信じたもので、無駄に祈っていた記憶がある。いや、無駄と言い切るのはよろしくないかもしれないが。

 結局のところ、そうした天罰、祟りといった人の手を介さない、もしくは介せない強烈な罰があたると信じるのは、人が産んだ許し難い負の感情を処理するために作られた、架空の機構であるとわかったのは、それからもう少し後の事だった。

 それは、罪をを犯す者にとっては、良い意味で罰が来ない。

 それは、罪を犯された者にとっては、悪い意味で罰が来ない。

 けれども。だから人は罰を代行しなければならない、ということがここで述べたいことではない。

 罰が来なければ、人の定めた法下でも裁けぬ罪――いいや。裁くほどの価値が社会に存在しない罪は。その清算が訪れない。

 それは、罪を犯した者にとっては、悪い意味で罰が来ない。

 良い意味で、罪は己の犯した罰を清算してくれるのに。

 なればこそ。己の身が背負う罪を、己のみが与えられる罪で償うべきである。

 その罪を、清算したいのならば。

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