第4話 意味の名
人は阿呆だ。
その癖してわかった気になりたがる。
いいや、だからこそわかった気になろうとするのだろうか。
世の中の物事には一見不思議不可思議が蔓延っている。それは森羅万象すべての出来事で、人、物、自然、人工物、それらに対して不思議不可思議は平等に根差している。
そして、その不思議不可思議――「未知」は、凡そ人に対して興味関心を引いてしまうのだ。
未知に対して好奇心を持った人間は、それを解き明かそうと躍起になる。ああでもない、こうでもないとあれこれ理屈や筋道をつけて解き明かしたがる。
――――意味付け、である。
意味というレッテルを張った物事は、人間が理解しうるものへと変貌する。何故か。それは人の理解する範囲でしか張ることができないレッテルだからである。
その意味の正誤は人にどうでもいい。意味付けは、未知が内包する魔力を無効化するもので、そうすることで人は安心し、理解し、この世の物事に対して手に取ったような錯覚を覚えれるのだ。
けれども、覚えておきたい。
この世の事物は、意味があって事物があるのではない。
事物があって意味があるのだ。
その前後を逆にしてしまうと、人は意味があるのだと空回りしてしまう。
この世には、意味のないこともままあるのだよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます