「ぱ」を「ま゚」と表記しないのはなんで?

千木束 文万

「ぱ」を「ま゚」と表記しないのはなんで?

 日本語には濁音、半濁音の音節がある。濁音は「が」「だ」など、半濁音は「ぱ」行の音である。ところで、これらは五十音に濁点を付して表される訳だが、このほど私は奇妙なことに気付いてしまったのである。


 濁音にはある程度規則性がある。「かが、ただ」と言ってみれば、どちらも口の形が同じであることに気付くだろう。舌の位置も変わらない。


 しかし一つだけ例外がある。「は」と「ば」である。これは明らかに口の形が違う。なぜ「は」行だけ濁音のとき口の形が変わるのだろうか。

 考えれば「ま」という、「ば」と口の形が同じものが五十音にあるではないか。

 それを鑑みると、「pa」という発音は、「ま゚」と表記されるのが正しいように思われるのだ。


 なぜ「pa」は「ぱ」なのか、不思議に思い十分ほど頭を捏ねたところで、それらしい結論に至った。

 言葉の言いやすさである。発音するときに最初の音がやわらかいものは、促音を挟むと言いにくい。たとえば「真っ赤」は「まっあか」ではなく「まっか」と「あ」を消して言いやすくし、「真っ丸」は「真ん丸」と音便を撥音にして言いやすくしている。ここで「真っ裸」について考えてみると、「まんはだか」は言いにくいし、消せる音節も無い、となれば音を変えるしかない。そして言いやすいものは何かと思案の末採用されたのが「pa」という音なのだ。


 そして、ひらがなというのは漢字より後に作られたものであり、当時の読みに支障のでないように作られたであろうと想像すれば、そのなかで、「一発」「全般」「発破」などの「pa」を、漢字単体の読みである「ハツ・ハン・ハ」と照らし合わせて「ぱ」と表記したのであろうと結論づけられる。


 なお、これらはただの想像であり、下調べなどはしていないため、間違っている可能性も大いにあることはご留意して頂きたい。

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