第56話 [なんでここにいる……]
「う……うーん……?」
ここはどこだ……。知ってる天井か。
昨日何があったっけ? あー、そうだ。あの暴食野郎に気絶させられたんだった……。
ゆっくり体を起こすと、もうすでだいぶ昇ったであろう太陽の光がカーテンから差し込んできていた。
「……そう言えば昨日……強盗きたからまともに飯食ってないじゃん……」
さてどうしよう。
今日は休日でいくらでも寝れる。しかし腹が減っている。
結論……。
「夢の中で食べてこよっと……」
「ダメに決まってるでしょーーっ!!?」
姉ちゃんがドアを突き破るような勢いで俺の部屋に入ってきた。
「……今日は休日だよ。だからオケ〜……」
「休日だから夢の中でご飯済ませるとかダメだから! しかも昨日血がいっぱい出てたじゃない! ちゃんと血を作る食べ物とか食べて体調管理しっかりして、その後も……ガミガミガミ……」
「…………」
うーん……姉ちゃんの話は眠くなるけど、まぁ伝えたいことはわかった。
「うん……心配してくれてありがと」
「っ!? ……そ、そーよ! 心配したんだから……もぅ」
ちょっと顔を赤くしながらそっぽを向く姉ちゃん。俺も
重い体を起こして、リビングへと向かったのだが、なぜかそこにはアイツがいた。
「あ! お目覚めですか、我が主殿!!」
「……なんで、ここにいる……」
あの侍のやつがなぜか俺ん家にいる……。
「行く場所も戻る場所もないから、うちに招き入れることにしたのよ」
「宜しくお願い致す、我が主の姉上殿」
「どうせあんたは拒否するだろうけど、優秀なお手伝いさんが増えてよかったって思えばじゃない!」
まぁこの家は無駄に広くて移動がめんどいし、一人くらい増えたところでなんら変わりはしないだろう。
けどなぁ……一回気絶させられてるし……。
「白髪に紅蓮の瞳……神の使者である主殿を気絶させてしまったこと……腹を切ってお詫び申す!!!」
「ほーら厄介ごとだ……」
「ぬ……! 止めるな白桜……こらは主殿への侘びだ! 我が心臓の貴様とは言えこれは譲れぬ!!」
……半植物人間、って言ってたか。
最初は脳死とかで動けなくなっな人の半分……とか思ってたが、ガチの植物人間らしいな。
どういう経緯でそうなったかはまぁ……知らなくていいや。
「はぁ……。俺の安息の地が無くなったか……」
「あ、そうそう。お母さんがゲーム機持ってたらしくてね、一緒に遊んであげてってさ」
「えぇ…………。めんどくさいよぉおおお」
「桜丸くん、家事全部やった上にあんたの看病もしてくれてたのよ? ちょっとは遊んであげなさいっ」
うーん……姉ちゃんが完全に桜丸とやらに絆されてる気がするなぁ……。俺の味方はいないのか……。
そういう不遇なキャラは優流だけでよかっただろうが。
「はぁ……。そんじゃ、ご飯食べたらゲーム内で二度寝してこよ」
「私は用事あるから出かけてくるわね〜」
その後、桜丸が作ったらしい料理(和食)は、悔しいが美味かった。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
桜丸は藍から教えられた家事(洗濯・掃除・紅羽の世話)をほぼマスターしております。
よかったね紅羽!
でも紅羽を見る目が肉食獣みたいでちょっと怖いね!
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