第30話:PKを撃退




「………目が覚めた…」



 目が覚めると横には色葉が寝ていた。



 俺が今着ている上着を脱いで色葉にかけた。


 ちなみに服装は初期と変わらず、白っぽい服に上着を着ていた。



「………誰か見てるな……」



 自然ではない……どこか不自然なところが多数ある。



「よくわかった…だが貴様、なぜステータスが見えない?」



 現れたのは全身黒一色で、まるで忍者のような男であった。



「……いろいろ?」


「真面目に答えろおお!!!」



 忍者男(笑)は腰にあった短剣を抜き、俺に突進してきた。



「おっと……刃物は振り回しちゃいけないんだよ……」



 短剣を横へと薙ぎ払ってきたが、俺はクッションに色葉を乗せ、それを持ちながら後ろへ軽く飛び、容易く避けた。



「運良く避けたか……だが次はそうはいかん!!」



 今度は内ポケットから針を五本取り出し、それを投げてきた。



「面倒なやつだ…【重力操作グラビティ】」



 俺が手をかざし、そう呟くと針はピタッとその場で止まり、それを相手にお返しした。



「なっ!?なんだそれわあああああ!!」



 自分の投げた針が返却されたことに驚き、そしてその針は全て己に刺さった。



「まだ体力あるのか……そうだな……【重力操作グラビティ】」



 こうやって絡んでくる人ように技でも作ってみるか……。


 俺は【重力操作グラビティ】を使い、自分の手を銃のような形にし、その人差し指に周りの気体を集めて集めて集めまくった。



 すごく激しく原子同士でぶつかり合うとプラズマが出て、さらに激しくすると爆発をするとかなんとか聞いたことある……。



 そして俺の【重力操作グラビティ】により勢いよく集められ、プラズマが発生していた。


 今にも爆発しそうだが、【重力操作グラビティ】でこらえている。



「う………これ、きっつ……」


「な……なんなんだそれええ!?!?」



 これはかなりきつく、額には血管が浮き出ており、今にもそこから出血しそうだ…。やらなきゃよかった……。




 周りの気体は全て彼の人差し指に集まり、空気の流れは彼が中心となっていた。




 そして集まった気体達を忍者男(笑)に向け【重力操作グラビティ】をさらに使い放り投げた。



「どんだけ“重力操作グラビティ”重ねて使わなきゃならないんだよ…【重力操作グラビティ】……」



 さらに【重力操作グラビティ】を使い、クッションに寝る色葉とともに空高くへと逃げた。



「…………今だ」



 集めまくった気体の塊が忍者男(笑)に突撃する寸前に俺は指パッチンをし、【重力操作グラビティ】を解いた。



 するとズドオオオオン!!!とものすごい爆音とともに忍者男(爆)が爆破した。


 いや…忍者じゃなくて俺が放ったやつが爆破した。


 実験成功であった。



「えっ!?何!?!?今の音!?!?」


「あ、色葉起きた……」



 流石のこの爆音で色葉も起きた。



「今、……だから爆破したよ」


「ん?いろいろと欠けてない?」



 スキル使いすぎて疲れた…。も、寝る……。



「おやすみぃ……」


「え!?ちょ、これじゃ一緒に寝てるみたい…って!ここ上空!?今寝ないでぇ!!」



 【重力操作グラビティ】を解き忘れていたが、それはだんだんと弱まり、ゆっくりと下へ降り、無事生還。




《【火魔法】を獲得》


《【風魔法】を獲得》


《【火魔法】と【風魔法】の獲得により、【雷魔法】を獲得》


《【火魔法】と【雷魔法】の獲得により【爆裂魔法】を獲得》




(………うるさっ……)




〜side忍者男(笑・爆)〜



 我は影に生きるもの……そう、忍者だ。


 そういう設定だ。



 我はこのゲーム内でPKをしている。


 そして一度も死んだことがなく、レベルも公式のランキングでかなり上位に食い込んでいる。



 そんな我の今日のターゲット。それは男女であった。


 二人とも初期装備のままであったが、片方の女はかなり美少女であった。


 男も仮面を付けているが、イケメンだとわかった……。畜生。



「………誰か見てるな……」



 何っ!?我の場所がバレるとは…いつぶりか…まあいい、どうせ勝てないのだから…。


 しかしこいつ、さっきから鑑定をしているがなぜか鑑定ができない。



「よくわかった…だが貴様、なぜステータスが見えない?」



 我が男にそう問うと、あいつはこう言った。



「……いろいろ?」



 我はムカついた。そして叫びながら短剣を抜き突進した。


 仮面男は我の神速を軽々しく避けた!?

 しかも女を抱えて…。


 そう、我は速さにかなり自信があるのだ。


 運良く避けたに違いない…。



「運良く避けたか……だが次はそうはいかん!!」



 我は内ポケットにある針五本を超絶早く抜き出し、それを投げた。


 この速さにはついていけまい!


 と思ったが……。



「面倒なやつだ……———」



 あいつが何かを呟くと、投げた針五本か我の元に帰ってきた。



「なっ!?なんだそれわあああああ!!」



 幸いなことにまだ体力はあった…だがそう思ったのもつかの間。


 男が右手を銃の形にして、その周りに風がどんどんと集まっていっていた。


 さらに集まる暴風に我は動けずにいた。



「う………これ、きっつ……」


「な……なんなんだそれええ!?!?」



 どんどんと集まっていっていたが、とうとうそれを我に向かって投げてきた。


 男は上空に避難していた…いや飛べるの!?



 そんなことを思っている暇はない!だが全く動けなかった。



 そして集まっていたプラズマの玉はすぐ目の前に来た。そして次の瞬間それは大爆発した。



「あ………」



 気づけば初期スポーン地点の噴水にいた。



 そして我は思った。



(もう……PKは二度としない……)



 そう忍者男は思った。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

なぜ隠蔽の仮面が機能しなかったか?

そう思う読者は多数いると思うので説明します。


シンプルに目立つもの、目立つ人がいるとそれはただの仮面となるっていう設定にしました。



爆発のやつ非現実的かもしれんが、VRMMOってことで!



甘くみてくれ。

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