第7話 [歩かず、浮く。だるいから]

 テクテクという地面を歩く音はただ一つ、俺の姉ちゃんのものだけだ。俺の移動音を表すのならば、フヨフヨが妥当だろう。


「あんた何よ……それ」

「ん? あれだよ、最初に武器選択するのあったじゃん。それ」

「え……武器……?」


 何言ってんだコイツみたいな目で見て見られる。


「……ある意味武器だよね、人をダメにしてしまう……あぁ、たまらん……」

「ぐっ……ちょっと羨ましいかもしれないわね……」

「ぐー……」


 今俺がやっているのは武器(?)の【人をダメにするクッション】に、俺のスキル、【浮遊フロート】を付与し、【念動力サイコキネシス】で動かしている。

 この武器に『魔法付与可』と書いてあったから試したらできた。いぇーい。

 物は試しとはよく言ったものだ。


《スキル【浮遊フロート】がレベルアップしました》


 こんな感じで使っていると勝手に上がって行くのだ。

 これは何もしなくても楽にレベルが上がってくぬるいゲームか……? まあいずれ限界は来るだろうし、今のうちに対策を考えておくのも吉。


 細かいことは気にせず、俺たちは街の外へ出て草原に来ている。ここでうさぎを討伐して経験値を貯めてレベル上げするらしい。


「あ、早速見つけたわ! やるわよ、アケディア!」


 そこにはうさぎがいた。普通にうさぎ、兎、rabbitだ。真っ白でモフモフな毛並みに、クリクリの目が可愛らしい。


「んー、頑張れ姉ちゃん」

「あんたもやるのよ!」

「えぇー……」


 ちなみに姉ちゃんの武器は双剣だ。モ○ハンの武器にありそうなやつ。


『キュ? キュァァ!!』

「っ! 来たわ! 行くわよ!」


 うーん……。流石にスキルで握る潰すとかそういうのはしたくない……。お、近くにちょうどいい岩が。


「【念動力サイコキネシス】」

『キュァアア……』


 うさぎは絶命し、ぽふんっと音を立てて姿を消した。


《ノーマルラビットを討伐。経験値獲得。ウサギの肉をドロップしました》

「やったね、姉ちゃん。俺一匹倒したからもういいや」


 クッションに体を預け、再び眠り始めた。


「どんだけ怠惰なのよ……うちの弟は……」


 やれやれという呆れ混じりのため息を吐きながら、草原の探索を続ける姉であった。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

実際にできたら……最高じゃねぇか……!

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