第6話 [姉に出会った]

「それにしても姉ちゃん遅いな。……ってなにこれ、めっちゃ見られてる……怖い……」


 ベンチでのんべりだらりとしているだけなのに、なぜかジロジロと周囲の人たちに見られていた。


「確か髪を俺と同じ銀髪にするって言ってたような……あっ、いた。お〜〜い」


 銀髪に髪を後ろで結んでいるポニーテールの女性がいる。その人を今出せる全力の声で呼ぶと、辺りをキョロキョロと見渡し始める。


「ん? 紅羽? どこに……」

「こっちー……」

「はいはい、そこね……って、そんなに変わってないわね」

「全部任せたからよくわからん……」

「任せた!? はぁ……あんたの怠惰レベル舐めてたわ……。自分の容姿ならステータスのとこで見れるわよ」

「ほんと? ステータス」


 半透明の板を操作していると、自分の用紙が観れる画面までたどり着いた。


「……俺、だ」

「うん、あんま変わってないわね。何かしらの仮面でも被っておいたら?」

「……持ってないー……。身バレ嫌だ」

「キャラメイクサボった罰じゃない?」

「オオ、ジーザス……」


 まぁおいおい手に入れるとして、今はめんどくさいからこのまんまでいいや。


「また野蛮なゴリラに絡まれたらどうしよう……」

「野蛮ゴリラ? なにそれ」

「さっき戦えーって言って俺に絡んできた」

「ちょっと、そいつなんて奴? 絞めてくるわ……」

「さっき倒したからいいよ。ありがと」

「え、もう決闘やったの!? しかも勝った!!?」

「ん」


 勝利のVサインを姉ちゃんに見せた。


「はぁ……ならまあいいわ。あと、はいっ。これ渡しとくわ」

《INAさんからフレンドカードが渡されました。フレンドになりますか?はい/いいえ》


「いな……?」

「一応アイナって読むわよ。NAは私の好きな元素記号だから」

「はぁ、そう……『はい』」

「あんたの名前は……クレハ? そこもサボったのね……」

「照れ〜」

「褒めてないわよ……」


 そんな『もっとちゃんとしなさいよ』みたいな目で俺を見ないでほしい。これでも俺なりに頑張ってる方なんだ。


「じゃあ早速外へ行くわよ!」

「えぇー……なんで……」

「なんでって、最初は行かなきゃダメなのよ」

「そんなぁ……」


 ズルズルと引きずられそうになった。

 そうだ、じゃああれ試してみよ。

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