第2話 [姉ちゃんとゲーム機]

 授業が終わり、家へと帰る。帰るまで十分でクラスメイトからは『めっちゃ近いじゃん』と言われているが、俺にとっては北海道から沖縄ぐらいまで遠い感覚がする。

 通学路にあるベンチでちょくちょく休憩を挟みながら帰宅をした。


「ただいまー……」


 ガチャリと扉を開けると、奥の方からバタバタという足音が聞こえてきたを


「やぁーーっと帰ってきたわねぇ! 学校で泊まるってどうゆうことよ!!」

「うっ……耳が……」


 この人は俺の姉ちゃん――銀水ぎんすいあい。黒い髪を後ろで結び、藍色の目をしている。

 俺とは正反対な性格で、〝勤勉〟な性格だ。ガミガミと言ってくるが、なんやかんやで俺の怠惰道を手助けしてくれる。


 でも今はご立腹だ……。玄関でガミガミ言われている。

 なんとか切り抜ける方法はないかな……。


 ――ピンポーン


「お届け物でーす」

「あっ、はーーい!」


 インターフォンが鳴り、姉ちゃんの気がそちらに向いた。

 ナイス、配達員さん。今のうちに……早くベッドへ……。


俺は自分の部屋へ入り、制服のままベッドへ倒れ込んだ。


「あああ〜。極楽浄土〜」


 ベッドに転がった途端眠気がやってきた……。やっぱ眠るのは家のベッドが一番だなぁ……。


「紅羽! 届いたわ!!」

「ぬー……」

「起きなさい! ほら見て、WFOよ!」


 近未来のゴーグルの画像が描かれている箱を俺に見せつけてきた。


「んー、あれ姉ちゃん予約してたんだ…おめでと……。頑張ってね」

「ちょっと! あなたもやるのよ」

「……え?」

「二つ予約して当たったのよ」

「まじか……姉ちゃんすごいね……。ってかなんで俺も?」


 まさか俺の怠惰な道をさらに整備するために買ってくれたの……? なんて弟思いの姉なんだ。


「ゲームの中ぐらいは活発に動くかなぁって」

「……俺を舐めてるの? それぐらいじゃ動かない」

「やってみなきゃわかんないでしょー?」

「んんん……。ま、やるだけやってみるよ」


 こうして、幸運な姉パワーでゲーム機をゲットしたのであった。

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